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2016年


「拡頭杭免震構法*」の構造性能評価を取得

2016年7月28日

*「拡頭杭免震構法」は、杭頭免震構造研究会参加会社共同で特許出願、商標登録申請しています。

杭頭免震構造研究会(安藤ハザマ、青木あすなろ建設株式会社、西松建設株式会社、株式会社長谷工コーポレーション他による共同研究会)は、基礎免震構造の性能を保持したままで、物流倉庫を始め共同住宅等、多くの用途に適用でき、建設コストの削減・工期短縮が図れる『拡頭杭免震構法』を開発し、日本ERI株式会社の構造性能評価(ERI-K15015)を平成28年2月26日付けで取得しました。
なお本構法は、明治大学 小林正人教授のご指導により行った研究開発の成果です。


開発の背景
免震構造は、耐震構造に比べ、大地震時における建物の損傷や揺れを大幅に低減できることは、広く認識されています。しかし、免震構造の中で一般的な基礎免震構造は、免震部材の上下に基礎梁を配置した免震ピットを設けるため、耐震構造と比べ、建設コストも高く、工期が長くなる傾向があります。
一方、基礎免震構造の性能を保持したまま、下部の基礎梁や基礎フーチングを省略化し、建設コストの削減と工期短縮が可能な杭頭免震構法がありますが、地震時における杭頭部の回転や、それによる免震部材への影響など、研究は行われているものの未だ課題が多いのが現状です。
そこで、本研究会では、実大サイズの免震部材の傾斜実験や、地盤-杭-建物連成系一体解析モデルを用いた地震応答解析による検証を行い、上記の課題などを解決した『拡頭杭免震構法』を開発し、設計・施工法を作成しました。

概要
『拡頭杭免震構法』は、杭頭部の径を拡げた拡頭杭の頭部に直接免震部材を設置し、基礎免震構造における下部の基礎梁より薄い扁平な「つなぎ梁」で杭頭部を連結して免震層の一体化を図った基礎免震構法です。杭頭部を拡頭とすることで、杭頭に生じる回転角を抑制することが可能となります。また、基礎梁をつなぎ梁とすることで、基礎工事の簡略化が図れます(図1参照)

『拡頭杭免震構法』には、主に以下のような特長があります。

  1. 基礎免震構造と同等の免震効果が得られます。
  2. 建設コストの削減・工期短縮が図れます。
  3. 建物の用途や構造形式、規模に制限はありません。
  4. 杭頭部の拡頭径と長さを調整して、経済的で合理的な設計が可能です。
  5. つなぎ梁と拡頭杭との接合形式はピンタイプと固定タイプから適切なものを選択することが可能です。
  6. 天然ゴム系積層ゴム、高減衰系積層ゴム、鉛プラグ挿入型積層ゴム、弾性すべり支承、U字形鋼材ダンパーなど、様々な種類の免震部材から最適なものを選択することが可能です。
  7. 時刻歴応答解析(※1)を用いた設計が基本となりますが、告示免震(※2)による設計も可能です。

a) 一般的な基礎免震構法

b) 拡頭杭免震構法

図1:従来の基礎免震構法と拡頭杭免震構法との比較


※1:時刻歴応答解析
建物を現在得られている知見に基づき、質量、減衰、バネにモデル化し、大地震の際に観測された時刻歴加速度データなどを用いて、建物の応答値を予測する解析手法です。超高層建物、制振・免震建物の設計の際に用いられます。
※2:告示免震
平成12年建設省告示第2009号の第6に記載される方法です。この方法で免震建物を設計した場合には、性能評価を受ける必要がなく、確認申請のみとなります。ただし、告示免震を適用するためには、いくつかの条件に適合させる必要があります。

免震部材の性能確認
『拡頭杭免震構法』において、杭は地震時に杭頭部が回転し、免震部材も追随して回転します。そのため、免震部材の回転時の挙動を模擬するため、傾斜プレートを用いた免震部材の加力実験を行い、その挙動が充分に安全な領域に収まることを確認しました(図2参照)(写真1参照)。実験は実大サイズの試験体で行い、様々な種類の免震部材の性能を検証しています。


図2:免震部材の傾斜実験概要

写真1:免震部材(鉛プラグ挿入型積層ゴム)の傾斜実験状況写真例
写真提供:オイレス工業株式会社



今後の展開
本構法は、基礎免震構造の性能を保持したままで、物流倉庫を始め共同住宅等、多くの用途に適用でき、建設コストの削減と工期短縮が可能です。今回の構造性能評価の取得を契機に、免震構造の普及推進を図り、より良い社会基盤の構築に努め、社会に貢献したいと考えております。

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