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2016年


トンネル切羽安定度予測システム「TFS-learning」を開発
− AI(人工知能)が発破孔の穿孔データから切羽安定度を自動予測 −

2016年10月28日

安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:野村俊明)はこのたび、進士正人 山口大学大学院創成科学研究科教授の指導のもと、古河ロックドリル株式会社(本社:東京都中央区、社長:三村清仁)、マック株式会社(本社:千葉県市川市、社長:宮原宏史)と共同で、AI(人工知能)を用いて、山岳トンネルの施工データを機械学習(※1)することにより切羽の安定度を自動的に予測できるトンネル切羽安定度予測システム「TFS-learning(Tunnel Face Stability calculate system by machine learning)」を開発し、実現場での運用を開始しました。

1. 背景
山岳トンネルの施工において、穿孔した発破孔に爆薬を装填する作業や、鋼製支保工を建込む作業については、切羽面直下での作業となり、切羽面からの落石や地山の崩落などに対して危険が伴う作業です。したがって、切羽面直下での作業前に切羽の安定度を確実に把握し、適切な安全策を講じることは、切羽作業の安全性を確保する上で重要です。通常、切羽の安定度は、発破掘削後、目視で切羽状況を観察することで確認します。しかしながら、この方法では作業員等の経験に依存する部分が多く、切羽の不安定箇所を見落とす危険があります。

2. 本システムの内容
今回開発した「TFS-learning」では、発破孔の穿孔データ(※2)を用いて、発破後に露出する切羽の安定度を、切羽評価点(※3)を指標に、自動的に予測します。まず始めに、遺伝的プログラミング(※4)を用いて掘削済み区間で得られた発破孔(※5)の穿孔データと切羽評価点の機械学習を行います。これにより、発破孔の穿孔データと切羽評価点の相関関係を学習し、発破孔の穿孔データから切羽評価点を導き出す数理モデルを構築します。次に、構築した数理モデルを用いて、新たな発破孔の穿孔データ(図1参照)から発破後の切羽評価点を算出し、発破後に露出する切羽の安定度を予測します。予測結果は、カラーコンター図で表示され、切羽の不安定箇所を可視化します(図2参照)。なお、本システムは、施工データが蓄積される毎に繰り返し機械学習を行い、数理モデルを随時更新していきます。

3. 本システムの効果
「TFS-learning」の効果は次の通りです。

  • 切羽全面の発破孔の穿孔データを用いるため、切羽全面を網羅的に評価することができ、切羽の不安定
        箇所を確実に把握することができます。
  • 発破孔穿孔時に、リアルタイムに切羽の不安定箇所を把握することができます。
  • 得られた切羽の不安定箇所に対して、鏡吹付けコンクリート等の切羽安定対策を実施することで、切羽
        作業の安全性が向上します。


  • 4. 今後の展開
    本システムは、国土交通省東北地方整備局発注の国道106号新箱石地区道路工事(新箱石トンネル)において適用中であり、切羽の安定度を評価する上で、良好な効果を得ています(図3参照)。今後、当社が施工している山岳トンネル現場へ本システムの展開を計画しています。


    ※1:機械学習
    人工知能における研究課題のひとつで、人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピューターで実現しようとする技術・手法のことである。
    ※2:穿孔データ
    油圧削岩機により岩盤を穿孔する際に得られる機械データである。本技術では、機械学習に用いる穿孔データは、穿孔速度、フィード圧、打撃圧、回転圧の4つとしている。
    ※3:切羽評価点
    支保パターンを選定するために、企業者ごとに定められた評価区分に従い切羽を目視観察して点数付けを行ったもの。
    ※4:遺伝的プログラミング
    生物の進化を模倣してデータ構造を変形、合成、選択することで、最適化問題の解法や有益なデータ構造の生成に利用する工学的手法である。
    ※5:発破孔
    発破のために爆薬を装填する孔である。


    図1: 発破孔の穿孔データ

    図2: 「TFS-learning」システム画面

    【発破前の予測結果】

    【発破後の切羽状況】

    図3: 新箱石トンネルにおけるシステム運用結果

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