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2017年


藤沼ダムで飽和度管理を実現
―新たな盛土管理手法で高品質なフィルダムの構築を完了―

2017年1月31日

安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:野村俊明)は、藤沼ダムの復旧工事(注1)で、福島県藤沼ダム復旧委員会(委員長:田中忠次(たなかただつぐ)・一般社団法人地域環境資源センター理事長)の指導のもと、土の飽和度(注2)に着目した最先端の盛土締固め管理方法(飽和度管理(注3))を適用して、中心遮水型フィルダムの堤体盛土の施工を完了しました。

2011年東日本大震災で崩壊した藤沼ダムの復旧工事では、旧堤体よりも確実に高品質な盛土の施工が求められました。 従来から盛土の締固め施工の品質管理は、土の密度を指標とした密度管理(注4)が主流です。密度管理では、締固めエネルギーと土質の状態が重要な要素になります。しかし、この二つの要素を、室内試験において実際の施工条件と完全に一致させることは難しく、試験結果に基づく合理的な施工管理が実際の施工現場で適切に実現できず、期待した成果が得られない場合もありました。

そこで、締固めエネルギーと土質の状態の影響を受けにくい最適飽和度(注2)を指標とした新しい管理手法である飽和度管理を採用し、密度管理と合わせて藤沼ダムの二つの堤体盛土の施工に適用しました。数多くの室内試験と試験施工の結果に基づいて含水比(注2)等に厳しい管理基準を設定し、本施工では含水比等を調整管理した土を使用して、GPSを搭載した振動ローラで転圧回数を厳密に管理することで、適切な飽和度管理を実現しました。

飽和度管理を同時に行うことで、盛土材の含水比管理と締固めた盛土の密度管理のみでは完全には防ぐことが難しかったオーバーコンパクション(過転圧)による土の強度低下や、比較的乾燥した土の浸水による強度低下・コラプス沈下注(注5)を回避することができ、これまでよりもさらに適切な盛土の施工管理を実現しました。

当社が特定建設工事共同企業体として受注している藤沼ダムの復旧工事は、既に平成28年12月には堤体盛土が完了し、平成29年3月の竣工を目指し、現在、付帯施設等を施工しています。4月末の供給再開に向けて1月18日には試験湛水を開始しました。

当社は、飽和度管理をフィルダムの実施工に適用した実績をもとに、本技術を一般的な盛土施工にも積極的に展開して、大規模な自然災害などにも負けない高品質な社会資本の整備に貢献してまいります。


注1:藤沼ダム復旧工事
2011年東日本大震災で本堤が決壊した藤沼ダム(昭和24年竣工、本堤と副堤の2つのダム)を全て撤去し、同一箇所に中心遮水型アースフィルダムを建設する工事。

(藤沼ダム本堤の標準断面)

注2:飽和度、含水比、乾燥密度、最適飽和度
飽和度とは土の間隙体積に対して水が占める体積の比率。含水比とは土粒子の重さに対する水の重さの比率。乾燥密度とは、土粒子の重さを土の体積で割った値。含水比を変えながら同一方法で締固めを行うと乾燥密度の最も高い含水比がみつかる。この含水比を最適含水比といい、このときの密度を最大乾燥密度という。最適飽和度とは、締固めが最も良い状態になる最大乾燥密度・最適含水比の時の飽和度であり、締固めエネルギーと土質の変化が一定の範囲内ならば概ね一定値を示す特徴がある。


〔土の組成の概念図と飽和度の定義〕

                                    (a)実際の土の状態                               (b)モデル化

注3:飽和度管理(飽和度による土の締固め管理)
龍岡文夫(たつおかふみお)・東京大学名誉教授・東京理科大学嘱託教授が提案した土の締固め管理手法で、土の最適飽和度を基準にして目標品質に応じて飽和度の管理範囲を設定する方法のこと。
【参考文献】
龍岡文夫. 盛土の締固めにおける飽和度管理の重要性(技術手帳). 地盤工学会誌. 2015, 63(7), pp.39〜40

〔盛土の飽和度管理の概念図〕
施工含水比と目標密度と飽和度幅で管理

〔飽和度管理に基づいた堤体盛土の品質試験結果例〕

注4:密度管理(密度による土の締固め管理)
所定のエネルギーを用いた締固め試験(室内試験)で求めた土の最大乾燥密度と、現場で締固めた後の土の乾燥密度との比によって表わされる締固め度を指標として、土の締固めの品質管理を行う方法。
注5:コラプス沈下
盛土完了後に浸水が原因と考えられる沈下が発生し問題となることがあるが、このような現象はコラプス沈下と呼ばれ、最適含水比よりも水分が少ない状態(乾燥側)で締固めた土などで生じることが多い。

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