自分が設計した建物が建ち上がっていく感動に
構造設計の仕事の魅力がある。

ヨーロッパで見た建築に感銘を受け、構造設計の道へ

大学時代に、ヨーロッパの建築を訪ね歩いたことがあります。その際、スペインで見た、構造家サンティアゴ・カラトラバの作品に惹かれたことが、構造設計の道に進むきっかけになりました。私が見たのは橋梁でしたが、構造的に合理的で無駄がなく、構造要素がそのままデザインに反映されていることに強い感銘を受けました。また、意匠設計は見る人の主観によって好みが分かれますが、構造設計は、合理的に構造部材を組み立てるという共通した価値観があり良し悪しの判断が比較的明快であるところに魅力を感じました。構造設計に求められる、『鉛直荷重や地震、風などの外力に対して安全に建物を設計する』ということは当然のことですが、ゼネコンの構造設計者は、経済性を含めたお客様の要望や使い勝手、施工の効率性を考慮した設計を求められます。
当社の構造設計部は、鉄骨造を主に担当するS系施設グループ、鉄筋コンクリート造がメインのRC系施設グループ、免制震建物や耐震診断を担当する特殊構造・耐震改修グループの3チームから成っています。私が所属するS系施設グループは、工場や倉庫など、広い空間を必要とする大スパンの建物の構造設計が中心となります。これまで多くの案件を担当してきましたが、乳製品の製造工場の設計及び現場監理は強く印象に残っています。

古庄祐子

現場に足を運び、現場の人とともにものをつくり上げていく

この案件は実施設計スタートから着工まで3ヵ月半、着工から引渡しまで5ヶ月半という、極めてタイトなスケジュールでした。それに加え規模が大きく構造的にも複雑な案件でした。時間に全く余裕がないからこそ設計部内(意匠・設備)及び施工サイドと連携して密な打合せを行い、建築確認申請に必要な構造図や計算書を作成し、無事に工程どおり着工することができました。着工後は工期が短いがゆえに、迅速な現場対応が最優先課題となりました。
マンションなどとは違い、工場は必要な機能を確保するため、着工後のお客様の要望変更が少なくありません。また、建築は一品生産である為、実際に現場が始まってみると様々な問題が発生します。具体的には、生産機器のレイアウト変更への対応や、部材の納まりが施工性の難易度を上げている、などです。次々と発生するそうした問題に対して、最善の解決策を早急に模索していくことが求められました。時間が限られている中、関係者と協議して施工を前へ進めました。構造設計者は机上だけで仕事をしているのではなく、現場に足を運び、現場の人とともにものをつくりあげていくのです。大きな問題もなく上棟を迎えられた時は、無事にやり遂げたという達成感がありました。

古庄祐子古庄祐子

出産・育児休暇を経て職場復帰、長く働き続けられる制度・環境がある

現在取り組んでいるのは、コンペティション案件である4階建ての物流倉庫です。安全性・機能性を十分確保した上で、いかに、経済性を含めたお客様の要望を反映させるかが大きなテーマ。それをクリアして、ぜひ受注に結び付けたいと思っています。
私は、結婚・出産後、1年3ヵ月の育児休暇を取得して職場復帰しました。嬉しいのは、周囲の人たちがとても協力的なことです。育児には突発的に休まなくてはいけなくなる場合も多いですが、そのような時にはいつも柔軟に対応していただいていますし、勤務時間も残業がないなど配慮して頂いています。そうした周りの心遣いに対し、今の私ができることは、限られた時間内で最大限の成果を発揮し、仕事の進捗に支障が出ないようにすることです。その為に、仕事を前倒しにすることや情報の共有化などを常に心がけています。当社には、女性でも長く働き続けられる制度が整っていますし、それを活用できる環境もあります。私も長く仕事を続け、構造設計者として成長していきたいと考えています。そのためにも、構造設計だけでなく意匠設計、設備設計、施工など他分野の知識を貪欲に吸収することが当面の目標です。そして、ものをつくる喜びを多くの人と共有していきたいと思っています。

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