• Profile

    1963年生まれ。大阪府出身。大学院で学んだ土木の知見を活かす場として、建設会社への就職を考えた。各社研究する中で、安藤ハザマの財務内容の良さが一際目について入社を決めた。「額に汗して働きたい」という思いがあり、施工現場での仕事を志望、入社以来一貫して土木の現場を歩んできた。プライベートでは、休日に家族と過ごす時間を大切にしている。これまでほとんどの現場が単身赴任。休日は家族と過ごすかけがえのない時間である。

  • Career History

    1991年 東関東自動車道菊間工事
    1994年 上信越自動車道中之条工事 作業所主任
    1997年 東京土木支店平成9年度国庫補助金道路工事 作業所長
    1998年 東京土木支店平成10年度国庫補助金道路工事 作業所長
    2003年 寺崎都市下水路改修工事 作業所副所長
    2005年 山口市川西浄水センター建設工事 作業所長
    2009年 中央環状品川線大井ジャンクション下部工事作業所長
    2010年 株式会社リーブルテック埼玉工場物流棟新築工事 作業所長
    2012年
    ~現在
    Fujisawaサスティナブル・スマートタウン造成 作業所長

最終的な完成形を思い描いて現場に臨む

現在、杉本が作業所長として指揮する現場は、神奈川県藤沢市で進められている、「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」の造成工事である。この現場は、全戸建てへの太陽光パネルの導入や先進のエコシステムの導入など、環境に配慮し持続可能な新しい街作りを目指したものだ。
「私たちは土木工事が担当ですから、住宅建設とは直接関わりませんが、このような、これからの時代に求められる街づくりに寄与できることに魅力を感じています。またこの現場の特徴は、一般の土木のように発注者が役所ではなく民間であること。発注者が民間の場合、役所と対応する以上に、ニーズの把握やコスト交渉など、折衝面において緻密な対応が求められます。発注者の要望に対して工程やコストをにらみつつ、所長として的確な判断を下していかねばなりません。厳しさと同時にやりがいを実感する現場です」 そう語る杉本は、入社7年目に作業所長に着任以来、作業所長として数多くの現場を経験、着実に実績を積んできた。その杉本が“土木の現場”の実際を痛感したのは、入社早々、高速道路の建設現場でのことだった。杉本が担当したのは土留め用のブロック工事。設計図通りに仕上げたのだが、役所の担当者が言ったのは「ぶち壊せ」の一言。続いて「設計図はマンガだから」と言われたのである。
「担当者が言いたかったのは、設計図は机上の空論、マンガのようなものということでした。土木工事は図面通りには作れない。担当した工事も図面通りに進めたために不具合が発生、実際に壊しました。土木工事というのは、それぞれの現場に応じて、最終的な完成形を思い描いて対応しなければならないのです」
以来、“最終的な完成形を思い描くこと”が、現場に臨む杉本の基本スタンスとなった。

所長の軌跡と基軸

現場で収益を生み出すのが作業所長の役割

杉本が所長として最初に赴任したのは道路建設の現場である。同時に道路を横断する水道管の老朽化に伴う新設工事も舞い込んだ。
「2つの現場を同時に進行させるようなもので、工期も極めてタイトなものでした。しかしやらねばならない。手順を間違わず、ミスを出さず、やり直しなどが決して起きないように的確かつスピーディーに現場を進めました。精力使い果たし疲労困憊の日々でしたが、これをやり遂げたことが、それ以降の自分を支えていると感じています」
杉本がここで学んだ重要なことは、 “手順”の大切さだ。それは作業や工程に留まらず、役所の担当者などと相対するときに筋を間違えない対応にもつながってくるものだ。そうした“手順”を明確に示すのが所長の役割の一つであり、それが現場を成功に導く重要な要素と言う。では、現場の成功とは何か。工程、予算、品質、安全、環境をマネージメントして計画の枠内に収めることは、ある意味、所長の当然のミッションである。杉本はプラスαのことを達成するのが所長に求められることだと言う。 「会社が現場に求めるのは極めてシンプルです。それは安全に工事を終わらせて、収益を上げるということ。現場で利益を出すには、お金の入りを多くすることです。そのためには事前に発注者の予算等の情報をキャッチする必要があります。そのための人間関係作りには手順があり、筋がある。それを着実に踏んでいくことで信頼関係が生まれます。そこで得られる情報が収益確保のツールとなるのです」
杉本はそのやり方で、ほとんどの現場で収益を生み出してきた。初の地方支店勤務だった広島支店の浄水場建設工事担当の際には、支店の利益のおよそ半分を稼ぎ出したこともある。以後、“現場で稼ぐ作業所長“という杉本の評価が定まった。

所長の軌跡と基軸

現場の全責任を担う自覚が仕事のやりがいを生む

杉本は一見飄々とした穏やかな風情があり、精力的に現場を仕切る指揮官のイメージとは異なるものの、現場でモノを生み出すことへの情熱は熱いものがある。
「終わらない現場というのはありません。日々着々とものづくりが進んでいきますが、作業所長というのは、完成が近づくにつれて心身ともに追い詰められていくものです。すべてが計画内に収まり順調な進捗であってもそれは変わりません。より高い満足、より高い完成度を求め、引き渡しの寸前まで悪戦苦闘します。完成直前が最も苦しい時期。だからこそ、完成して引き渡しを済ませたときの達成感は大きなものがあるのです」
そう語る杉本に作業所長という仕事の魅力を聞いてみた。
「作業所長というのは、現場のすべての責任を担い、その自覚を持って仕事をします。それだけの裁量・権限を持って現場を動かすこと自体に魅力があると思います。そして自分が作業所長として、ここを作ったと言えるわけです。あの現場は誰の現場と尋ねられれば、最初に名前が出るのは作業所長であり、“杉本の現場”ということになります。俺の現場、ここは俺がつくったと言えること、それが作業所長の魅力であり、仕事の喜びや嬉しさを生んでいると思います」
杉本は作業所長としてすでにベテランの部類だ。かつて、現場から本社勤務への異動を打診されたこともあったが、現場で仕事を続けていくことを選択した。
「モノづくりに直接携わっていきたいという想いがあります。元々、社会資本を整備するという社会貢献の高さに惹かれて土木の道を選びました。現場でモノをつくることが人のため、世のためになるという想いが、深い部分で自分を支えていると思います」 作業所長・杉本優。その情熱とスピリットが、今日も現場を前へ動かしている。

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