仲間とともにいいものをつくる、
その連帯感の中に仕事の喜びがある。

技術提案から技術支援、技術開発にわたる設計担当の役割

私の所属するセクションは、橋梁の設計・計画、現場の技術支援等の業務を担っています。橋梁に限らず、土木の設計担当の役割は、多岐にわたります。まず、公共工事受注に向けた取り組みがあります。かつて公共工事は、価格の優劣で受注が決まる入札が一般的でしたが、近年は、価格と技術力を総合的に評価して落札者を決定する「技術提案型総合評価方式」が増えています。落札・受注に向けて、当社独自の技術や安全・環境への取り組みをアピールできる提案や設計・計画に知恵を絞り、工事を実現することが設計担当の役割になります。
実際に工事が始まると現場の技術支援が重要な業務になってきます。土木の施工現場は自然が相手であり、設計や計画通りにはいかない想定外の様々な問題が発生します。現在建設を進めている橋梁建設現場でも、設計通りに施工が進まない難しさを感じました。橋梁というのは、実は、日々微妙に伸縮します。そのため必然的に施工誤差が生まれます。それをいかに修正して最小化するか。その実現に向けた技術的な対策を講じ、課題解決に導く取り組みを進めています。また、施工に新しい技術が要請された際、技術開発を行うのも設計担当の役割。関係部署と連携して進めるこれら取り組みを通じて、高い品質の構造物を生み出していくのが設計担当のミッションといえます。

坂田祐介

現場を知る大切さ、“現場第一主義”という仕事のスタイル

私は現在の仕事に就くまでのおよそ10年、土木の施工管理の仕事に携わってきました。土木の設計に携わるには、まず施工管理の仕事を通じて現場を経験することが出発点なのです。国内外、様々な現場を担当しましたが、初めての現場である九州の地下発電所建設は強く印象に残っています。何もわからず無我夢中で取り組みましたが、そこで私の仕事のスタイルが形成されました。現場所長の指導のもと、叩き込まれたのは「現場を見る」というシンプルなものです。現場を見るということは「現場を理解する」ということです。理解することで、今、現場で何が問題なのか、何が求められているのかを把握でき、迅速・的確な対応も可能になります。いわば、“現場第一主義”、それが当時から今に至るまで、私の変わらない仕事のスタイルです。
その後、多くの海外プロジェクトに関わってきました。初めての海外赴任だったベトナムの発電所プラント建設では、ビジネス習慣の違いもあり、現地の人を動かす難しさを痛感しました。人を動かすには、人の心を動かす必要があることを、改めて学んだと感じています。

坂田祐介坂田祐介

「ありがとう」の言葉に感じる海外プロジェクトのやりがい

ベトナムを皮切りに、スリランカの津波被災復旧工事、アルジェリアやネパールの道路建設などの公共工事の現場を担当しましたが、いずれの国もインフラが未成熟だけに、現地の人から感謝の言葉をいただけるのが海外プロジェクトの魅力であり、やりがいです。ネパールの道路建設は、中心都市と衛星都市を結ぶもので、この道路開業で確実に利便性や豊かさがもたらされる手応えがありました。道行く人に、会うたびに「ありがとう」の言葉をかけられたのが嬉しかったですね。
最近、国内の現場で痛感したことがあります。道路工事は一般的に交通規制が行われますが、その現場はお客様の要望で、規制せずに施工が成り立つ設計にしました。しかし現場所長は「工事は安全確保が大前提」と主張、自らお客様に掛け合い、交通規制を実現させたのです。そこにあったのは施工者としての信念でありプライド、そして勇気です。設計者として、建設に携わる者として一番大切なことを教えられました。今後も“現場第一主義”の精神で、多くの仲間と協働して、いいものをつくっていきたい。その連帯感の中に、仕事の喜びもあります。そして、多くに人から“必要な人間”と思われる人材に成長したいと考えています。

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