適切な時期に防水改修を
屋上防水は、直射日光・風雨・雪・霜などの過酷な環境に曝されており、耐用年数は、一般に建物躯体に比較して短く、建物寿命の中で何度か改修を行う必要があります。防水の耐用年数は、メンテナンス状況や環境条件などにより変わりますが、一般的には以下のように考えられています。
屋上防水の一般的な耐用年数
防水仕様 | 耐用年数 |
---|---|
露出防水(コンクリートなどの保護層なし) | 10~20年 |
保護防水(コンクリートなどの保護層あり) | 25~35年 |

適切な時期に診断を
漏水すれば、不愉快な思いや財産の損失になるばかりでなく、躯体の耐用年数に影響を及ぼします。定期的に点検・診断を行い、漏水が生じる前に、適切に修繕を行うことをお勧めします。

改修方法
防水の改修方法には、撤去方式とかぶせ方式があります。既存の劣化状況などによる制限がありますが、かぶせ方式が優れていると考えられています。
(長所)
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騒音、振動が少ない
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廃棄物の発生が少ない
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コストが比較的かからない
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施工期間が短い
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施工中の雨養生が簡易又は不用
(短所)
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荷重、旧防水の種類により適用できる新規防水が制限される
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既存の劣化が著しい場合、不可

改修工法の選定
以下の点を検討して、状況に応じた最適な工法を選定します。
屋上の使用目的
歩行、非歩行、駐車場、スポーツ施設などかぶせ方式の適用の可否
荷重、旧防水層の種類及び劣化状況気候、環境
温暖、寒冷、積雪、市街地など施工の条件
周囲への騒音・振動・臭い、降雪・梅雨などの施工時期、資材などの搬出入条件

防水改修工法
撤去方式による防水改修では、既存防水層を撤去した後に、新たに防水層を設けるため施工手順は新築と大きく変わりません。一方で、かぶせ方式による防水改修では、既存の防水層の上に新規防水層を施工するために、下地となる既存防水層などの処理には注意が必要です。
かぶせ方式によるアスファルト保護防水改修
<ポイント>
保護コンクリートなどのせり上がり、ひび割れ補修
保護コンクリートなどの劣化した表面の処理
水溜まりなどになる不陸部、欠損部の処理
防水立上がり部の処理
伸縮目地の処理
ドレン、配管廻りなどの特殊な納まり部の処理
新規防水層のふくれ防止のための脱気処理

かぶせ方式による露出防水改修
<ポイント>
既存防水層のふくれ、破損の処理
防水立上り部の処理
ドレン、配管廻りなどの特殊な納まり部の処理
新規防水層のふくれ防止のための脱気処理

新規防水層のふくれ防止のための脱気処理
