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アトリウムと一体化した
ウェルネス・オフィス
- 新電元朝霞事業所 -

約 1000 人の従業員が働くオフィス兼研究所である。
これまで分散していた実験施設やオフィスを移設とともに一棟に統合する計画であり、機能集約とシナジー効果による生産性の向上が目指された。
さらに省エネ・快適性・知的生産性の向上をコンセプトとして掲げ、これらを建築的に解決すべく 120m×60m の奥行きの深い平面中央にスキップフロア状のアトリウムを内包させる計画とした。

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オフィスエリアと一体空間としてつながり
多用な働き方を喚起する
スキップフロア状のアトリウム

オフィスエリアと一続きとなったアトリウムからは複数の事業部を一望でき、ここにスキップフロア状に床を設けることで、実験室との行き来が多いワークスタイルを活かした日常的な動線空間とした。また中間踊り場を拡張しフロア間の隔たりを架橋するように共用スペースを配していくことで、天井高さや床レベルの変化の中に多様な場を生み出すこととなった。
このことは、これまでのオフィスに見られる交流のための共用スペースという状況を超え、一人一人がその働き方に合った場所を自由にアトリウムに見出すことができるという、場の多様性と選択性をもたらした。

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穏やかな光や風を身近に感じられる、快適性と健康性の向上を目指した省エネ空間

このようなアトリウムをさらに省エネや快適性の向上と結び付けるため、光・温熱環境においても均一に制御されたオフィスエリアとは異なる環境づくりを行った。
アトリウムではトップライトと全周に配されたハイサイドライトにより自然光を拡散光として取り込み、無風状態においても煙突効果による自然換気を促進している。

空調ではクールヒートトレンチを利用した外気取り込みによって省エネ化を図り、成層空調による床吹き出し空調と上部の熱だまり形成により、季節ごとの外気温変化にも追従できる穏やかな温熱環境を実現した。

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アトリウムからの昼光利用トップライト、ハイサイドライトからの自然光を拡散光として取り込み、アトリウムとオフィスの昼光利用を図る。

熱だまりの形成天井部の空間に熱だまりを形成させることで居住域の温熱環境を安定させる。

サーカディアン照明健康性に配慮し人体の一日のリズムであるサーカディアンリズムに沿って調光・調色運転を行う。

煙突効果による自然換気オフィスとアトリウムの高低差を利用した煙突効果により無風状態においても自然換気を促進する。

外皮の断熱強化外壁・屋上の断熱を強化し、建築の断熱性能を高める。

クールヒートレンチによる空調換気年間を通じ安定しているピットの地中熱を利用し外気の予冷・予熱を行い、外調機の省エネを図る。

明るさ感配慮の照明計画アイストップとなる壁面をあかるくすることで少ない照明でも明るさ感を得られる照明計画とする。

天井高さと床レベルの変化スキップフロアにより天井高さ・床レベルに多様性が生まれ、働き方に応じた様々な居場所を作る。

床吹き出しによる成層空調大きな気積を持つ空間に対し居住域を効率的に空調する成層空調の考えに基づき床吹き出空調を採用する。

主導線を兼ねた階段上の構成アトリウムを主導線とすることで階段の積極的利用を促す。健康意識向上のため階段に消費カロリー表示を行う。

環境シミュレーションによる
最適化と
コミッショニングによる
性能検証

照明は、グレアを防ぎ天井や壁に光を拡散させ明るさ感を得るオフィス照明や、人体のリズムに沿ったサーカディアン照明により省エネと健康性の向上を図るとともに、移ろう自然光で満たされたアトリウムと調和させるため
DALI 制御による細かなスケジュール運転をかけている。
こうした外部の光や風の取り込みによる効果やその負荷制御については、設計段階において環境シミュレーションにより最適化を行った。アトリウムの光・温熱環境は、屋内でありながら時刻や天候の移ろいといった外部環境を穏やかに反映する五感に訴える空間を目指し、均一に制御されたオフィスエリアと対になることで新しいウェルネスオフィスの在り方を模索した。

アトリウムは従業員が出会い・働き・リフレッシュする場として、施設統合による一体感と省エネ・快適性・知的生産の向上といったテーマを具現化し、本事業所は ZEBReady、 CASBEE 建築 S ランク、CASBEE スマートウェルネスオフィス S ランクを達成した。竣工後は設備システムのコミッショニング(性能検証)を実施し、エネルギーや環境データの分析・評価・最適化調整を行っている。
コロナ渦においてオフィスに集い働く意義が問われる中、自席だけでなくアトリウムを含めた多様な環境をフル活用することで、健康的で創造的な働き方が可能なオフィスとなることを期待した。

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