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2016年


MMSを用いた土工出来形計測の新システムを開発
―車載型レーザースキャナにより、土工事に必要なデータを迅速かつ正確に取得―

2016年2月19日

安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:野村俊明)と朝日航洋株式会社(本社:東京都江東区、社長:立野良太郎)は、このたび、モービル・マッピング・システム(※1)(MMS。(図1参照))に搭載したレーザースキャナを用いた、新しい土工出来形(どこうできがた)計測システムを共同で開発いたしました。

1.背景・課題
土工事の管理では、切土・盛土の土量や移動先・移動量を把握するために、「出来形計測」により地形変化を定期的に計測しています。出来形計測の方法にはトータル・ステーション(※2)(TS)やリアル・タイム・キネマティックGPS(※3)(RTK-GPS)がありますが、広さが数十haにもおよぶ大規模造成工事では、出来形計測に多くの労力と日数を要するため、作業の効率化が求められます。


2.新システムの特長
両社が今回開発した新システムは、MMSを用いて、刻々と変化する現地出来形を正確な3次元点群データとして取得し、工事の進捗状況や設計図との相違を迅速に把握できるようしたものです。
MMSは主に、道路および道路付属物(標識など)の3次元形状データの取得や、道路台帳附図(※4)などの地図作成に利用されています。一方、定期的に繰り返し実施する土工出来形計測にMMSを適用するには、「適正な計測範囲設定や計測方法を定めたルールがない」「土量計算に使う3次元点群データの作成に時間がかかる」「土工管理に必要な3次元点群データの精度を担保する管理方法がない」などの課題がありました。
両社はこれらの課題を解決するため、新たに以下のとおり現地計測方法とデータ処理システムを開発しました。

現地計測方法
計測車両が、計測対象の形状に応じて無駄なく走行し、必要な精度を確保できるよう、測量基準点の設置ルールを定めました。

データ処理システム

  • 高速処理システム・・・計測データに含まれる不要物の除去技術、地形の特徴を損なわない大容量点群データの間引き技術、および複数の計測データの合成技術の3つの技術を統合しました。(図2参照)(図3参照)
  • 精度管理システム・・・計測データの品質の判定(簡易解析処理)と、現場内に配置した測量基準点を用いた計測精度の確認(詳細解析処理)の、2段階機能としました。


3.実証実験の結果
本システムを、安藤ハザマが施工中の造成工事(面積約40ha)に適用し、以下の効果を確認しました。
  1. TSやRTK-GPSによる従来の方法に比べて、現地作業およびデータ処理・作図に要する作業時間を約8分の1まで減少できました。土量計算に必要な3次元図面は、現地での計測から約1日で完成が可能です(従来は5日)。
  2. 現場内の測量基準点を用いた計測データの補正処理により、RTK-GPS測量に相当する精度(誤差…平面で±2〜3cm、標高値で±5cm程度)を確認しました。
両社はさらに、工事現場の施工管理者が本システムを簡単に利用できるように「ガイドライン」を作成しました。ガイドラインに従って計測やデータ処理を行うことで、工事の進捗管理や土量管理、出来形管理などに必要な3次元点群データを、高品質かつ迅速に取得できるようになります。


4.今後について
今後、朝日航洋はMMSを建設事業にも展開し、計測コンサルタント事業の拡大を図ってまいります。安藤ハザマは、全国の造成工事現場に本システムを導入して土工管理を効率化するとともに、取得データを用いてより高度な土工CIMの実現を目指してまいります。そして、両社は相互に連携して、本システムのさらなる有効活用を目指すとともに、国土交通省が進める「i-Construction」(アイ・コンストラクション)(※5) への対応も視野に入れて、一層の技術改良を重ねていく所存です。



※1:モービル・マッピング・システム
車両にGPSアンテナ、レーザースキャナ、カメラなどの機器を搭載し、走行しながら周辺の3次元空間位置データと周囲の映像を高精度で効率的に取得できる移動体計測システム。
※2:トータル・ステーション
距離を測る光波測距儀と角度を測るセオドライトを組み合わせて同時に測量できる機器で、狭い範囲の高精度測量に一般的に使われている。
※3:リアル・タイム・キネマティックGPS
基準局(固定点)からの補正観測情報を携帯電話や無線を利用して移動局(新点)に送信し、移動局の位置をリアルタイムで測定する方法。
※4:道路台帳附図
道路法により道路管理者が作成する図面のことで、多くは縮尺1/500で作成される。国土交通省作業規程の準則により、MMSを利用しての作成が認められている。
※5:i-Construction
2016年度から始まる国土交通省の取り組み。測量・設計から施工、さらに維持管理にいたる全プロセスにおいて、小型無人機(ドローン)や自動制御建設機械といったICT(情報通信技術)を全面的に活用し、生産性の向上を目指す。
 

図1: MMSによる工事現場の計測

図2: 3次元点群データ(地表面、構造物あり)

MMSが複数コースを走行して取得した3次元点群データを合成し、鳥瞰表示した事例。ブルドーザやダンプなどの建機が計測されていること、また点群の計測密度に偏り(地表面の黄色点の濃淡)があることがわかる。

図3: 3次元点群データ(構造物を除去した地形、間引き後)

図2から建機のデータを削除し、地形の特徴を損なうことなくデータを間引き、 点群密度を均一にしてデータを軽量化したもの。点群の計測密度の偏り(地表面の黄色点の濃淡)が、図2より少なくなっていることがわかる。

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