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2018年


室内環境可視化技術「環境ウォッチ」を開発
−ARにより室内の温度・気流を可視化−

2018年2月13日

安藤ハザマ(本社:東京都港区、代表取締役社長:野村俊明)と富士ソフト株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役 社長執行役員:坂下智保)は共同で、Microsoft 社が提供するMixed Reality(複合現実) 端末である「HoloLens」(注1)を活用した室内環境可視化技術「環境ウォッチ」を 開発しました。

1.開発の背景
室内空間の温度や気流分布は実際に目で見ることができません。そのため、空調設計者、施工者、建物利用者間での空調計画の意図などのイメージの共有が困難であり、建物利用者に快適な室内環境を提供するという点で課題となっていました。この様な状況に対して、CFD(注2)や現地計測を通じて把握された室内温熱・気流環境をVR(注3)を含めたさまざまな手法を適用して可視化を行いましたが、現実空間と結び付けて理解することが困難でした。
そこで昨今注目されるAR(注4)ツールのひとつHoloLensを活用して新たに室内環境可視化技術「環境ウォッチ」を開発しました。


2.環境ウォッチの特長
  • 温熱、気流などの事前解析結果や計測結果を現実空間に実スケールでARとして表示することができる。(写真12
  • 3次元空間内の温度・気流分布の解析結果や計測結果を、ARを用いて現実空間と結び付けることで、専門家でなくても容易に理解できる。
  • 現実空間と3Dオブジェクトが統一された座標系で結びついているので、空間を動き回った際にも表示が追従する。
  • 現実空間内の特徴的な形状を不動点と定めるため、別途特別なマーカーを設置する必要はない。
  • 解析や計測を通じて得られる温度や気流分布は、多様なファイル形式(注5)で「環境ウォッチ」へ入力が可能。この高い融通性によりBIM(注6)との親和性が高まる。
  • 一つの解析、計測結果に対していろいろな表示方法を選択できる。



3.試験適用
2017年11月に安藤ハザマ技術研究所で開催しました「安藤ハザマ技術フェア2017」において、当該技術の試験適用の様子を先行公開しました。床吹き出し空調方式のホール(15m四方、高さ8m)を対象空間とし、空気温度分布および床吹き出し空調の気流をARによる可視化対象として選定しました。ストレスのない視野の追従や、周囲に人がいる場合にも自己位置を見失いにくいことなどを確認することができ、さらに事前の解析と、実際に感じられる温度・気流感との差異を即座に現地にて確認できる点など高い利用評価を得ることができました。
その結果、当該技術が実現場での利用に十分耐えるものであること、また実空間・実スケールにて可視化するARの特長により、利用者が体感と結び付け、より深く室内設備や温熱環境を理解できることが確認されました。


4.今後の展開
当技術の展開活用・継続開発を通じ、快適性・省エネルギー性の両立した最適な温熱環境の計画・提供に役立てていきたいと考えています。まずは、竣工検査時の空調設備の確認と室内温度計測支援や、建物引き渡し時の顧客とのコミュニケーションツールとして、施工現場へ積極的に展開を図る予定です。
また、技術開発の側面では、各種計測装置(例えばサーモグラフィー)とHoloLensとの連携を確立し、リアルタイムでの温度分布の可視化等に取り組み、当該システムの活用の幅を広げることや、温度、気流以外に汚染物質の拡散等の可視化など、表示対象の幅を広げることを当面の課題として開発を進めていきます。



注1:
Microsoft HoloLens(マイクロソフト ホロレンズ):
〔URL:https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens
Microsoft 社が開発した世界初の自己完結型ホログラフィックコンピュータ。目の前の現実世界に、仮想世界の3Dのホログラフィックを重ねて表示させることで、現実世界と仮想世界を複合した「Mixed Reality」(複合現実)を実現するデバイスです。ヘッドマウントディスプレイ状のデバイスで、単体で動作するため、歩行範囲に制限がなく、両手も空くため、ビジネスでの適用が期待されています。海外では 2016年 3月より、国内では、2017年1月から、法人と開発者向けに提供が開始されました。
※HoloLens、Microsoftは、米国 Microsoft Corporationの米国、日本およびその他の国における登録商標または商標です。
※記載されている会社名および商品名は、各社の登録商標または商標です。
注2:
Computational Fluid Dynamics:数値流体力学
注3:
Virtual Reality:コンピュータ上で表現された空間を現実として知覚させる技術。
注4:
Augmented Reality:拡張現実、人が知覚する情報を拡張する技術。現実に3Dオブジェクトを重ねて表示することで、そこに物体、現象を見ることができる。
注5:
温度分布は、空間の温度と座標が定義されたテキストファイルと空間の任意断面の温度分布を表す画像ファイルを、気流分布は気流の流れや風速を表す3Dオブジェクトファイルを入力ファイルとして使用。その他必要に応じて、様々な形式のファイルの入力が可能。
注6:
Building Information Modeling:コンピュータ上に再現した3次元の建物モデルにコスト、材料などの情報を付加したもの。
 


写真1:室内での気流可視化

室内空間の気流解析結果を実空間に表示させた様子。
吹出し口から伸びている円柱が空気の流れ、色が風速を示している。



写真2: 室内での温度分布可視化

室内空間に散りばめられた球の色は温度を示しており、3次元的な温度分布を表している。
球のサイズは一定で、遠近など位置認識を助ける。
この他に、温度分布は断面表示にも対応しており、任意断面の熱移動を把握できる。


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