安藤ハザマ(社長 野村俊明)は、通常の梁よりも部材せい(※1)が小さい梁を用いた鉄筋コンクリート造の扁平梁構法「Wise-Beam構法(ワイズビーム構法)」を開発し、一般財団法人日本建築総合試験所による建築技術性能証明第13-13号を取得しました。
通常の鉄筋コンクリート造(RC造)の梁では、その幅を柱幅より狭くするのが一般的です。限られた梁幅の中で必要な耐力を確保するためには、太径の鉄筋や強度の高い鉄筋を用いるか、梁せいを大きくしていました。
Wise-Beam構法は、柱幅よりも広い梁幅を有している扁平梁構法です。梁幅を広くすることで梁せいが小さくなると断面性能が不利になるため、通常の梁と比較してコンクリート量や鉄筋量が増加しますが、限られた階高の中で広い空間を実現することが可能となります。例えば、集合住宅ではバルコニー側にハイサッシを設けることで開けた空間を提供できるようになり(図1参照)、建築物に付加価値を付けることができます。また、各階の梁せいを小さくすることで建築物全体の高さを低くする、建築物の高さに制限がある地域において各階の階高を抑えて1層増やす、なども可能となり、従来のRC造と差別化を図ることができます。
本構法による梁幅は柱幅の3倍以下、かつ片側の張出し幅が柱幅の1.25倍以下としています。Wise-Beam構法には一方向扁平梁と二方向扁平梁があり、前者は採光面積を広く採りたいという板状の集合住宅などに適しており、後者は物流施設や生産施設のほか、広く一般的なRC造にも適用させることが可能です(図2参照)。また、免震構造と組み合わせることで、よりグレードの高い、居住安全性を付加することもできます。
Wise-Beam構法は、長期優良住宅などのハイグレードな集合住宅にも対応できる躯体構法です。当社では、現在までに多くの集合住宅の建設を手掛けており、本構法をはじめとして、梁や柱がない床壁構造である「An-Thick(アンシック)構法」(※2)など、空間配慮型のRC構造のメニューを充実させてきました。
今後も、このような付加価値の高い躯体構法のメニューを揃えることで、単なる価格競争だけではなく、お客様のニーズに応じた住環境空間を提供していきたいと考えています。

従来の柱梁の骨組

扁平梁を用いた骨組
図1:従来構法との骨組の比較

一方向扁平梁

二方向扁平梁
図2:扁平梁を用いた骨組みの形式
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1部材せい
部材の断面の高さ方向の長さのこと。梁せいとは梁の断面の高さ方向の長さのこと。 -
An-Thick(アンシック)構法
床版と壁版で構成される板状の集合住宅向けのRC造の躯体構法。柱や梁がないため広く開放的な空間を得られ、SI(スケルトン・インフィル)住宅にも適用できる(建築技術性能証明第12-10号取得済)。