安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:野村俊明)は、乾燥機能付土質混合機「かまきり」を開発し、フィルダムの実施工に初めて適用しました。
1.開発の背景
フィルダムのコア材などの土質材料は所要の設計品質を得るために、厳密な含水比の管理が必要です。含水比が適正値に対して低い(材料が乾燥している)場合は加水し、高い(材料が湿っている)場合は乾燥させる必要があります。乾燥した材料は散水などで湿潤させ容易に調整することができますが、水分の多い材料は攪拌させて天日で乾燥させるため、気温や日照、湿度の影響を大きく受けます。
2.「かまきり」の特長
当社が開発した「かまきり」は、汎用性の地盤改良機械であるスタビライザーに温風装置を付加したもので、以下の特長があります。
- 温風装置により気温、日照、湿度の影響を受けずに乾燥作業が可能です。
- 含水比の高い内部の材料を地表面へ掻き起す攪拌作業と乾燥作業を同時に行うため効率的な施工が可能です。
- 温風の熱源にはスタビライザーのエンジンの排気熱を利用しているため、新たな熱源や追加コストは不要であり、CO2の追加発生もありません。
3.実機試験
実機試験では、土質材料の含水比変化について、「かまきり」使用時と通常のスタビライザー使用時とで走行回数ごとに比較を行いました。その結果、「かまきり」で乾燥させた土質材料は通常のスタビライザーと比較して3~4%の含水比の低下が確認できました。 また、福島県の藤沼ダムの復旧工事注(1)では、「かまきり」でフィルダムのコア材を効率的に乾燥させ、厳格な含水比管理による高品質な盛土の施工を実現しました。
4.今後の展開
当社は、土質材料の乾燥が必要となるさまざまな現場で「かまきり」を展開し、適正な土質材料の管理を実現し、強固な盛土施工など、社会資本の整備に貢献してまいります。
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藤沼ダム復旧工事
2011年東日本大震災で本堤が決壊した藤沼ダム(昭和24年竣工、本堤と副堤の2つのダム)を全て撤去し、同一箇所に中心遮水型アースフィルダムを建設。


写真1:乾燥機能付土質混合機「かまきり」

写真2:撹拌部内部

写真3:現地試験状況

図1:かまきりの含水比低下状況