安藤ハザマ(本社:東京都港区、代表取締役社長:国谷一彦)と、コベルコ建機株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:山本明、以下、コベルコ建機)は、このたび、自動運転ショベルの本格展開を視野に、「建機搬入からシステム稼働までの時間短縮」と「現場人員での運用」という実際の作業現場で求められる実用性について、シールド工事現場において検証しました。
建設現場の生産性向上と現場無人化による本質的な安全の確保の実現を目的に、お互いの強みを活かして油圧ショベルの自動運転システム開発に取り組むため、両社は2019年4月に共同研究に関する協定を締結しました。コベルコ建機は油圧ショベルシステムの自動運転システム開発を、安藤ハザマは現場へ適用するための施工と安全に対する管理システム開発や現場運用ルール化を担い、これまで段階的に油圧ショベルの自動運転の実現に向けて実証実験を重ねてきました。
2019年秋にはティーチングとプレイバック(注1)による油圧ショベルの単純な自動運転の実証実験を、2020年秋には土砂形状、ダンプトラックの荷台位置を人工知能(AI)で認知し、掘削、積込み位置を自動調整により現場の状況変化に対応できることの実証実験を行いました。
さらに2021年12月の実証実験では、実作業環境での自動運転に必要とされる基本的な機能と、AIにより侵入物体や人を検知・認識、距離測定することで、危険度に応じた各種警報を自動的に発報するという安全確保の仕組みが問題なく動作することを確認しました。一方で、現場人員だけでは自動運転システムを設定するのは難しく、稼働開始までに時間が掛かってしまい、自動運転ショベルの操作も難しいという実用面での課題が残りました。
そこで、これらの課題を解決するために、下記の2点を改良したうえで、2023年12月、安藤ハザマが施工中のシールド工事現場において、自動運転ショベルでダンプトラックに土砂積込みを行い、実用性を検証しました。
- 自動運転システムの初回設定が短時間で完了し、稼働までの所要時間を短縮
短時間で自動運転システムの初回設定を完了できるように設定手順書を作成しました。加えて、タブレット内の自動運転システム設定アプリのユーザーインターフェースを再設計したことで、ショベルの搬入から自動運転システム稼働までの設定が半日程度で完了できました。
- 現場人員の誰もが自動運転ショベルを扱え、2週間スムーズに稼働
分かりやすい取り扱いマニュアルを作成し、タブレット内の操作アプリについても直感的に扱えるようユーザーインターフェースも設計し直しました。これにより2時間弱の教育で、現場人員の誰もが自動運転ショベルを操作できるようになりました。また、自動運転システムの日常点検リストを作成することで、日々の点検業務を現場人員でスムーズに行えました。誤操作などによるトラブルは発生せず、2週間、自動運転ショベルを安全に稼働できました。
機能面と安全面に加え、今回の検証により、運用面でも現場における自動運転ショベルの実用化について一定の目途がついたと考えています。安藤ハザマとコベルコ建機は、これらの共同研究の成果をもとに、今後、自動運転の適用工種の拡大と現場展開に向けた取り組みを加速させていきます。
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自動運転ショベルにおけるティーチングとは、プログラム作成のために重機の動作を「記録」することです。プレイバックとは、記録した動作を再現することです。