安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:国谷一彦)は、九州大学(所在地:福岡県福岡市、同大学大学院工学研究院環境社会部門教授:島岡隆行)と共同研究開発を進めてきた「焼却残渣の固化式処分システム」を、新しいタイプの廃棄物処分場として社会実装することを目指し、他6社と共に「焼却残渣固化式処分システム研究会」を設立しました。
1.背景
一般廃棄物最終処分場の埋立て物の約90%は焼却残渣となっており、重金属等の溶出リスクの他に、跡地利用までの期間・維持管理コストがかかるといった課題も多く、新たな埋立方式へのニーズが大きくなっています。
また、近年頻発する大地震や豪雨災害に対して、強靭な処理施設整備や、災害廃棄物の処理場所不足への対応、埋立物の減容化等が求められています。
2.固化式処分システムとは
当社と九州大学の共同研究による新しいタイプの廃棄物処分技術で、当社が保有するアッシュクリート(注1)を製造する基本技術「超流体工法」を焼却残渣(焼却灰・飛灰)の固化処分に応用しました。焼却施設から排出された焼却残渣は、まず磁力選別機で鉄分を選別、除去し、次にふるい選別機で大きな夾雑物を選別、除去します。その後セメントと少量の水を加えミキサーで混合撹拌し、超流体工法を応用した振動締固めを行います。締固め厚さは、振動エネルギーに応じて、厚さ20~50㎝程度とし、固化体として積み重ね、埋立ていきます。
超流体工法とは、きわめて少ない水量で紛体を練り混ぜて、振動させ、流体化させる独自の技術です。
参考情報:焼却残渣固化式処分システム研究会の概要
1.設 立:2023年11月9日
2.目 的:廃棄物焼却残渣の固化式処分システムを用いて固化埋立を行う固化式処分場に関する技術を総合的に研究開発し、その技術の普及及び発展を図り社会に貢献する。
3.会 長:島岡隆行(九州大学大学院工学研究院環境社会部門教授)
4.事務局:株式会社安藤・間 技術研究所 地盤・基礎研究部
〒305-0822茨城県つくば市苅間515-1
5.会 員
正 会 員 : 株式会社エイト日本技術開発
株式会社エックス都市研究所
株式会社建設技術研究所
パシフィックコンサルタンツ株式会社
青山機工株式会社
三友プラントサービス株式会社
株式会社安藤・間
個人会員: 島岡隆行(九州大学大学院工学研究院環境社会部門 教授)
中山裕文(九州大学大学院工学研究院環境社会部門 准教授)
小宮哲平(九州大学大学院工学研究院環境社会部門 助教)
6.活動内容
1)固化式処分場の社会実装モデルや技術課題等に関する調査研究
2)固化式処分場の計画段階から設計・施工、埋立・維持管理、廃止・跡地利用に関する指針案の作成
3)懇話会・勉強会・シンポジウム等による情報交換、論文発表やホームページ等での情報発信
4)自治体・事業者等に対する相談会等の開催
5)その他本会の目的を達成するための必要事項
ウェブサイトを公開し、情報配信ページを設置しました。
固化式処分システムの社会実装に向けて、様々な情報を配信していきます。
固化式処分システムの研究開発では、環境研究推進費の補助事業にも3回連続で採用され、いずれも高い評価を得ています。
研究課題データベース|環境研究総合推進費|独立行政法人環境再生保全機構 (erca.go.jp)
第1回日本オープンイノベーション大賞(授賞式2019年3月)では、「柔軟なコンソーシアムの構築による多種多様な焼却残渣を廃棄物固化式処分システム」の取り組みに対して「超流体工法によって、埋戻し材等として石炭灰を大量に有効利用することや一般廃棄物焼却残渣の埋立処分の高度化で、持続型社会の構築に大きく寄与する。」として選考委員会選定優良事例が授与されています。
https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/prize/2018.html
-
アッシュクリート
石炭灰を大量に使用した、品質および環境安全性の高い硬化体