安藤ハザマ(社長:野村 俊明)は、短期間かつ低コストで容易に設置が可能な放射線遮へい容器「L-box」(写真1参照)を川上産業株式会社(社長:川上 肇)、ユニチカ株式会社(社長:安江 健治)と共同開発致しました。
現在実施されている除染作業により、セシウムなどの放射性物質が付着した土壌や草木などの放射性廃棄物が発生します。この廃棄物は自治体が設置する仮置場などで保管されますが、仮置きに当たっては放射線量の影響を考慮した遮へいなどの措置が実施されています。放射性セシウムから放出される放射線であるガンマ線は通常の土やコンクリートでも遮へいすることが可能で、厚さ30cmの覆土により放射線線量当量率(※1)を約1/40に、15cmのコンクリート壁で約1/10に減衰します(※2)。
今回開発した「L-box」は、この土の持つ遮へい性能を活用し、放射性廃棄物を安全に保管する容器です。
「L-box」は、川上産業株式会社の樹脂製軽量合成板プラパール® とユニチカ株式会社の放射線遮へい防水シートを使用したL字型の箱(図1参照)(写真2参照)で、放射性廃棄物を入れたフレコンバッグや大型土のう(※3)などを囲みます。確認実験では囲んだ箱の中に土砂を入れる(写真3参照) ことで、放射性廃棄物からの線量率(1μSv/h前後)を、その敷地内における空間線量率(0.3μSv/h前後)までに低減させることが確認できました。
通常の放射線の遮へいでは地下に埋設する、もしくはコンクリート製の容器に入れるなどの方法がありますが、「L-box」はこれらと同等の遮へい性能を持っています。また、軽量という樹脂の特性を活かすことで運搬や設置も容易であることから低コストであり、より多くの場面での積極的な活用が期待できます。例えば仮置場への運搬前における放射性廃棄物の一時的な保管などにも有用です。
私たちは、今後「L-box」を積極的に展開し、除染作業を行う地域の再生のサポートをして参ります。なお、本製品は本年9月25日(水)から27日(金)までの期間、東京都千代田区の科学技術館にて開催予定の「環境放射能除染・廃棄物処理国際展『RADIEX2013』」にも出展予定です。
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放射線線量当量率
「人間が単位時間当たりに受ける放射線によって現れる影響の度合いを現す単位です」 (『電気・電力辞典』東京電力 ホームページ) -
放射線の遮へい方法
放射線の遮へい方法としては、例えば、厚さ15cmのコンクリート壁で覆うと放射線線量当量率が10分の1、30cmの覆土を行うと40分の1程度になるとされている」
(『福島県内の災害廃棄物の処理の方針』環境省 平成23年6月23日 p.13) -
フレコンバックや大型土のう
フレコンバッグとは、フレキシブルコンテナバッグ (Flexible Containers) の略で、粉末や粒状物の荷物を保管・運搬するための袋状の包材のことです。環境省のパンフレット『仮置場での保管について』では、「取りのぞいた土などは、フレキシブルコンテナや大型土のうなどに入れる」とされています。