安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:野村俊明)は、このたび、北海道勇払郡厚真町で建設中の「厚幌ダム建設事業 ダム本体工事(※1)」(以下、厚幌ダム)において、平成27年6月12日~平成28年7月4日(内冬期休工期間:平成27年11月20日~平成28年3月14日)の実施工期間約8.5ヶ月の短期間で、約36万m3のCSG打設を完了しました。(図1参照)
この間の月最大堤体打設量は74,000m3であり、CSGの製造には当社開発の混合システムを使用し、品質確保、大量施工を実現しました。
厚幌ダムは、国内3例目となる台形CSGダムです。台形CSGダムは、堤体材料にCSG(Cemented Sand and Gravel)を用い、CSGの周りを耐久性の確保を目的とした保護コンクリートで覆った台形形状の新しい型式のダムで(図2参照)、ダム建設における設計・施工・材料の3つの合理化を目的に開発されたものです。CSGは建設現場周辺で容易に得られる材料を、分級や洗浄を行わずに破砕し、セメントと水を添加し、簡易な混合により製造された材料です。台形CSGダムは、コンクリートダムと比較して、簡易な設備と汎用機械による施工が可能であることから、施工の省力化、工期短縮、環境保全、およびコスト縮減が図れ、今後の増加が見込まれています。
台形CSGの高速施工には所定の品質を満たす大量のCSG製造が不可欠です。これを可能とするため、厚幌ダムにおけるCSGの混合設備は、上部の重力を利用した自由落下式のDKミキサと、下部のコンパクトで簡易な2軸強制連続ミキサ(DKP-Ⅱミキサ)を組み合わせたシステムとしました。混合設備は3セット配置することで、345m3/hの連続大量混合を可能としました。(図3参照)
上部のDKミキサは撹拌板を取り付けたミキサユニットを5段重ねた筒状装置で、上部よりCSG材とセメントを投入します。投入された材料は自由落下しながら撹拌板で撹拌されますので電力等の動力を必要としません。ドライ混合されたCSG材とセメントはその下部にあるDKP-Ⅱミキサに落下投入されます。(図4参照)
DKP-ⅡミキサはCSGの製造を目的として、自社で開発したミキサです。簡易な設備で大量の混合を可能とするため、二軸強制連続混合方式を採用しています。また、DKP-Ⅱ内に特殊ノズルを設け、ミキサ内に水を噴霧状に給水することで、所要の品質を満たす均質なCSGの製造が可能となっています。(図5参照)
今後工事は、堤体上部の保護・構造コンクリートの打設、洪水吐部の天端橋梁を施工し、平成30年3月の竣工を目指します。
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工事概要
工事名称:厚幌ダム建設事業 ダム本体工事
工事場所:北海道勇払郡厚真町
発 注 者:北海道胆振総合振興局
施 工 者:安藤ハザマ・岩田地崎・田中特定建設工事共同企業体
工 期:平成26年10月8日~平成30年3月20日
工事概要:堤高47.2m、堤頂長516.0m、堤体積48.1万m3の台形CSGダム