安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:福富正人)は、日本が抱えるエネルギー問題の解決に向けた取り組みの一つとして「安藤ハザマ次世代エネルギープロジェクト」に着手します。
本プロジェクトは、2018年8月に国土交通省の「平成30年度第1回サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」(注1)に採択されており、また日本ファシリティ・ソリューション株式会社と協力して実施しています。
1. 開発の背景
エネルギーは、人々の生活や産業の根幹を支えるものです。一方、日本はエネルギー基本計画(注2)で示される通り、資源の海外依存による脆弱性や大規模災害対応などの課題を抱えています。さらに、パリ協定で示された温室効果ガス排出量の削減に向けた実効性の高い対策は喫緊の課題といえます。これらの課題解決には、次世代に向けた水素などの新しいエネルギーを利活用する現実的な方法を探り、最適解を追求する統合的なエネルギーマネジメント手法を追及することが重要です。
こうした背景を受け、安藤ハザマは先端の技術と当社が蓄積してきた知識・経験・情報を結集し、次世代型エネルギーマネジメントシステムの構築・運用を目指すプロジェクトをスタートさせました。
2. プロジェクトの概要(図1)・特長
本プロジェクトで進める次世代エネルギーマネジメントシステムは、次の3つの要素(図2)により構成されます。
次世代型省CO2コージェネレーションプラントによるエネルギー供給の計画運用マネジメント
電力の供給には水素燃料の混合/切替が可能な燃料電池やガスエンジンによるコージェネレーションシステムと大型蓄電池などを組み合わせた分散型電源を導入します。自己託送による広域的エネルギー融通マネジメント
発電された省CO2電力は、自己託送制度を活用し複数広域の需要拠点(注5)に送電され、広域的なエネルギー融通マネジメントを実現します。これにより、複数広域にある需要全ての電力需要も合わせて発電・供給調整することで、省CO2エネルギー(電力)を広く活用できるようになります。分散型電源を設置するスペースがない建物においても、複数広域の建物の省CO2化を実現でき、工事現場における省CO2化にも貢献できます。
この次世代型エネルギーマネジメントシステムが普及した社会は、旧一般電気事業者が供給責任として負担している調整電力が緩和され、系統全体の発電電力について低炭素化が期待できます。
3. 今後の展開
安藤ハザマは、つくば市の「環境未来都市」構想推進協議会や「つくば3Eフォーラム」の「次世代エネルギーシステムタスクフォース」に参画し、低炭素化社会を推進する一員として活動しています。本プロジェクトでは、さらに「いばらき水素利用促進協議会」とも協調し、社会へ広く情報発信を行います。そして本プロジェクトの推進により、先導的省CO2技術のノウハウを蓄積・検証し、さらに運用・展開することで次世代のエネルギーマネジメントシステムの構築とサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
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平成30年度第1回サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)
サステナブル性という共通価値観を有する省エネ・省CO2や低炭素化に係る先導的な技術の普及啓発に寄与する住宅・建築物の省CO2の実現性に優れたリーディングプロジェクトに対して、国が整備費等の一部を支援する補助金。国土交通省ホームページより引用 -
エネルギー基本計画
経済産業省ホームページ 平成30年7月3日(第5次)エネルギー基本計画より引用。 -
DALI
Degital Addressable Lighting Interfaceの略。照明制御における国際標準規格(IEC 60929)。メーカーを問わず制御できるオープンな規格であり、IoT制御に適応しやすい規格である。 -
コミッショニング
第三者による性能検証の意。(新築建物)コミッショニングとは、ビルのオーナーやユーザーが求める建築設備への要求性能を文書としてまとめ、その要求通りに企画・設計され、建設され、運用されていることを検証する過程(プロセス)。建築設備コミッショニング協会ホームページより引用。 -
複数広域の需要拠点
本プロジェクトでは、安藤ハザマ技術研究所(茨城県つくば市)、安藤ハザマ千葉工場(千葉県千葉市)、大型工事現場(2019年度に選定・運用開始)間でエネルギー融通マネジメントを実施します。

図1:プロジェクト概要図

図2:プロジェクトコンセプト