場所打ちコンクリート杭への高強度鉄筋の適用手法を確立

安藤ハザマ（本社：東京都港区、社長：国谷 一彦）と共同開発会社^（注1）（以下、「共同開発会社9社」）は、主筋に高強度鉄筋^（注2）を使用した場所打ちコンクリート杭（以下、「場所打ち杭」）の構造性能を確認し、その設計手法に関して、一般財団法人ベターリビングにて一般評定^（注3）を取得しました。 従来よりも強度の高い鉄筋を主筋に用いることで、杭の合理的な設計を可能とするとともに施工性や施工品質の向上を実現します。

１．開発の背景

場所打ち杭は、地盤を掘削した孔内に鉄筋を挿入し、コンクリートを打設して築造します。杭は建物荷重を支持するとともに、地震等で発生する水平力に対しても抵抗します。杭を設計する場合、建物の規模や想定される地震によって適切な杭径、鉄筋量、コンクリート強度などを決定します。昨今の建物の高層化や高軸力化に対して杭径を太くする場合、杭孔の掘削土量や杭のコンクリート量が増えるので、コストおよび作業量が増えて、環境負荷も大きくなります。そのため、従来は拡底杭^（注4）や高強度コンクリート杭^（注5）の採用により、杭径を細くして、鉄筋量を増やすことで耐震性能を確保してきました。しかし、鉄筋量が増えて過密化すると基礎梁主筋と干渉して施工性が低下するだけでなく、コンクリートの充填性が悪くなり、品質の低下につながる恐れがあります。

２．本技術の概要

本技術は、これまで場所打ち杭の主筋に用いられていた普通強度鉄筋（降伏点が490N/㎟以下の鉄筋）よりも高い強度の鉄筋（降伏点が590～685N/㎟の鉄筋）を主筋として用います。地震時の水平力に対して高強度鉄筋を使用した杭体の構造性能を実験で確認しました。

また、場所打ち杭は孔内に安定液^（注6）が満たされた状況で、鉄筋を挿入しコンクリートを打設することで築造します。この安定液下で施工される高強度鉄筋とコンクリートの付着性能などを各種実験で確認し、高強度鉄筋を杭主筋に用いる場合の設計手法を確立しました。

３．本技術のメリット

場所打ち杭の主筋に高強度鉄筋を使用することで、以下のメリットが期待できます。

• 従来の普通強度鉄筋を用いる場合に比べて主筋本数の削減が可能
• 主筋本数の削減により、鉄筋かごを建込む際の施工性の向上および基礎梁主筋との干渉の改善
• 主筋本数の削減により、コンクリート充填性の向上
• 強度の高い鉄筋を用いることにより、杭耐力を向上させることが可能
• 強度の高い鉄筋を用いることにより、杭径を細くすることが可能
• 杭径縮小により掘削土量およびコンクリート量が削減され、コストおよび環境負荷の低減に寄与

４．今後の展開

共同開発会社9社は、本技術の実物件への適用を推進し、幅広い活用を目指していきます。