安藤ハザマ(本社:東京都港区、代表取締役社長:国谷一彦)とサコス株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:瀬尾伸一)は、高所作業車の安全設備として、距離センサを用いた挟まれ警報装置(以下、「本装置」)を開発しました(写真1)。 本装置は、高所作業車の作業かご周囲にある手すりに取り付けることで、手すり上部にある物体を距離センサが検知し、作業員に障害物の接近を知らせるものです。

写真1:装置を取り付けた高所作業車
1.開発の背景
建設現場では、足場を設置せずに効率的に高所作業を行う方法として高所作業車が使用されますが、作業中に作業員が手すりや構造物に挟まれる事故が報告されています。
このような事故を防ぐため、接触式センサや赤外線センサを用いた警報装置は既に存在するものの、これらのセンサでは検知できない障害物があることや、警報装置自体が作業の支障になるなどの課題があります。
2.本装置の特長
本装置では、計測精度に優れたLiDAR(注1)をセンサに使用して高い検知能力と作業範囲を確保し、これらの課題を解消します。
-
検知性能
LiDARの使用により、障害物の形状や材質、照度による影響を受けることなく、障害物を高精度に検出することが可能になります。また、独自のノイズフィルター機能を搭載しており、高所作業車の揺れや粉塵などによる誤検知の発生を大幅に低減しています。 -
作業性
本装置は高所作業車の手すり下部に取り付けるため、手すり上部に突出物がなく、作業の支障になりません(図1)。また、高所作業車の上昇中のみ警報が作動する仕組みのため、作業中にセンサの上部を作業員が横切った場合も警報が作動することなく作業を続けることができます。 -
汎用性
本装置には、LiDARの数値変動と判定プログラムにより装置単体で高所作業車の「上昇」を認識する機能があり、かつ内蔵バッテリーを搭載していることから、高所作業車に直接接続する必要がありません(図2)。そのため、高所作業車のメーカや機種、レンタル会社を問わず幅広く使用することが可能です。

図1:装置の取り付け位置、上昇中の警報範囲の一例

図2:装置の構成(センサ部(外側)・制御部(内側))
3.試験運用
物流倉庫の建築現場において本装置の試験運用を行いました(写真2)。試験運用では、センサが障害物を漏れなく検知し、長尺物等の資材を取り扱う際も作業効率に影響を与えなかったことから、本装置が高所作業車での作業における安全性と作業性の両立実現に寄与することを確認しました。

写真2:試験運用の状況
4.今後の展開
今後は、本装置の運用体制を整備し、全国の現場へ展開することで、建設現場の安全性と作業性の向上を目指していきます。
-
LiDAR(Light Detection And Ranging)
レーザー光を使ったセンサで、対象物までの距離、位置、形状を正確に計測できる。