安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:福富 正人)と安藤ハザマ興業株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:田渕勝彦 以下、「安藤ハザマ興業」)は共同で、安藤ハザマ興業が千葉工場で製造する普通強度領域(~60N/㎟)の建築部材を対象としたプレキャストコンクリート製品(以下、PCa製品)に低炭素コンクリートを採用した低炭素型プレキャストコンクリート製品(以下、低炭素型PCa製品)を標準的に供給できる体制を確立しました。通常のPCa製品と同じ製造サイクルで強度や耐久性などの要求性能を確保しつつ、部材や位置の制限なく建築構造物へ適用が可能です。
さらに、開発した低炭素型PCa製品の5製品(注1)の製造を対象にライフサイクルアセスメント(以下、LCA)(注2)を実施し、製品の環境情報を客観的に「見える化」できるエコリーフ環境ラベル(以下、エコリーフ)(注3)を取得しました。低炭素型PCa製品の標準化およびPCa製品のエコリーフの取得は、国内で初めて(注4)となります。
これらにより、お客さまは通常のPCa製品と同等のコスト・品質で、セメント由来のCO₂排出量を約20%削減した低炭素型PCa製品の選択が可能となり、環境配慮型社会の実現にも貢献できます。
1.開発の背景
環境配慮型社会の実現が求められる中、安藤ハザマでは、セメント材料に由来するCO₂排出量の削減を目的とした現場打ち低炭素コンクリートの技術を開発しています(注5)。また、環境影響を評価し、負荷削減策を計画・実行するために、建築物にLCAを実施し、CO₂排出量の定量評価を行うなどの取り組みを重ねてきました(注6)。
今回、現場打ち低炭素コンクリートの技術を生産性向上・工期短縮が図れるPCa製品に適用し、低炭素型PCa製品のメニューを整えました。さらに、低炭素型PCa製品を製造するプロセスで排出される、CO₂をはじめとする環境負荷を定量的に評価する手法を確立しました。
2.技術の特長
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普通セメントの20%を高炉スラグ微粉末(注7)で置換することで、材料由来のCO₂排出量を約20%削減できます。
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通常のPCa製品と同じ製造サイクルやコストで、同等以上の強度と耐久性を有しています。
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部材や位置の制限なく、建築構造物へ適用可能です。
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第三者認証制度であるエコリーフを取得することで、客観的で信頼性の高い環境情報をお客さまへ「見える化」することが可能です(図2)。
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エコリーフが付与された低炭素型PCa製品を適用した建築物は、LEED認証(注8)の加点対象となります。
3.今後の展開
安藤ハザマグループは、今後も建設事業のCO₂削減に向けた取り組みを推進し、積極的な技術開発を進めていきます。
また、PCa製品の採用を検討しているお客さまに向けて、コストや品質に加えて環境にも配慮した低炭素型PCa製品の提案に取り組むことで、お客さまの環境価値創造にも貢献していきます。
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5製品
設計基準強度Fc=36、42、48、54、60N/㎟の5製品。 -
ライフサイクルアセスメント(LCA)
製品・サービスがライフサイクル全体(資源採取-原料生産-製品生産-流通・消費-廃棄・リサイクル)または、その特定段階で与える環境負荷を定量的に評価する手法。 -
エコリーフ環境ラベル
一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)(https://ecoleaf-label.jp/)が運営する環境情報開示方法の仕組み。国際規格「ISO 14025 タイプⅢ環境宣言(EPD:Environmental Product Declaration)」に準拠した環境ラベルで、企業の製品やサービスの環境情報を定量的に評価するための客観的な根拠として活用されている。今回の登録番号:JR-BH-22002E~JR-BH-22006E -
2022年4月12日時点。安藤ハザマ調べ。
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技術・ソリューション 低炭素コンクリート
(安藤ハザマ公式ウェブサイト) -
技術・ソリューション CFP(カーボンフットプリント)
(安藤ハザマ公式ウェブサイト) -
高炉スラグ微粉末
製鉄所の高炉における製鉄の際に副生されるスラグを微粉砕したもので、水硬性を有する。 -
LEED認証
米国グリーンビルディング協会が開発および運営を行っている建物・敷地利用についての国際的な環境性能評価システム。Leadership in Energy & Environmental Design(省エネと環境に配慮した建物・敷地利用を先導するシステム)の略。