技術概要
土工事における切土・盛土の土量や移動先・移動量を定期的に把握する出来形計測を効率化するシステムです。モービル・マッピング・システム(MMS)(写真1参照)を用いて、刻々と変化する現地出来形を正確な3次元点群データとして取得することで、工事の進捗状況や設計図との相違を迅速に把握できます。
こんな課題をお持ちのお客様に
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造成工事や堤防工事などの土工事において、現地で実施する出来形計測の作業を効率化したい。
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トータル・ステーション(TS)やリアル・タイム・キネマティックGPS(RTK-GPS)を用いた出来形計測に要する労力や日数を軽減したい。
システム構成
データの品質を保証するための2段階精度管理
計測データの品質の判定(簡易解析処理)と、現場内に配置した測量基準点を用いた計測精度の確認(詳細解析処理)の、2段階の精度管理手法の導入により、計測データの品質を保証。作業時間を約1/8まで減少
TSやRTK-GPSによる従来の方法に比べて、現地作業およびデータ処理・作図に要する作業時間を約1/8まで減少。土量計算に必要な3次元図面は、現地での計測から約1日で完成が可能(従来は5日)。計測精度は従来と同等
現場内の測量基準点を用いた計測データの補正処理により、RTK-GPS測量に相当する精度(誤差…平面で±2~3cm、標高値で±5cm程度)を実現。
※ 工事現場の施工管理者が本システムを簡単に利用できるように「ガイドライン」を作成しています。ガイドラインに従って計測やデータ処理を行うことで、工事の進捗管理や土量管理、出来形管理などに必要な3次元点群データを、高品質かつ迅速に取得できるようになります。

写真1: MMSによる工事現場の計測

図1: 3次元点群データ(地表面、構造物あり)
※MMSが複数コースを走行して取得した3次元点群データを合成し、鳥瞰表示した事例。
ブルドーザやダンプなどの建機が計測されていること、また点群の計測密度に偏り(地表面の黄色点の濃淡)があることがわかる。

図2: 3次元点群データ(構造物を除去した地形、間引き後)
※図1から建機のデータを削除し、地形の特徴を損なうことなくデータを間引き、点群密度を均一にしてデータを軽量化したもの。
点群の計測密度の偏り(地表面の黄色点の濃淡)が、図1より少なくなっていることがわかる。