技術概要
わが国は、これまで阪神・淡路大震災や東日本大震災など地震による大きな被害を経験し、今後も南海トラフ巨大地震・首都直下地震などが高い確率で発生が予想されており、それらに備えるため、計画・設計の段階における耐震性の検討の他、既存構造物の耐震性評価などが必要不可欠となっています。
特に新規プロジェクトにおけるフィージビリティスタディや、エネルギー関連施設当重要構造物の耐震性評価においては、豊富な実証データと幅広い解析コードに基づいた耐震解析技術は不可欠なコア技術になっています。
新潟地震で注目された液状化現象は、阪神・淡路大震災で再び大きくクローズアップされ、東日本大震災では震源地から大きく離れた場所での液状化被害が多く報告されました。新規プロジェクトでは、液状化被害の事前検討や液状化時の挙動予測、対策効果の検討などが必要となり、構造物の設計において重要なポイントとなっています。
本技術は、地震時(液状化時)の地盤被害発生予測、地震時における地盤と構造物の相互作用問題に対する耐震性評価、各種の対策工法の設計等に利用するものであり、低コストで効果的な設計をしていく上で重要な役割を果たすと考えられます。
特長
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豊富な実証データと幅広い解析コードに基づいた耐震解析・設計技術を有しています。
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小~大型模型実験施設、載荷試験施設などを保有することにより、解析技術の実証が可能な体制を整えています。
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一般土木構造物から原子力関連施設まで、各種の構造物に対応可能な幅広い解析コードを開発・保有しています。
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エネルギー関連施設における耐震性評価のための地震応答解析の実績が多数あります。
適用事例
模型実験施設等の実証施設

大型振動台実験の例

大型三軸試験機
地震応答解析に用いる入力データとして、地盤材料の動的な変形特性や強度特性を定めるため、小型・大型三軸試験機を用いた室内試験が必要となります。また、地震時の構造物の挙動・影響予測や新工法の開発を目的として小型・大型振動台を用いた模型実験を実施しています。
耐震(液状化)解析(2D-FEM)事例

ケーソン式岸壁の地震時シミュレーション

堤防の耐震対策効果検証事例
LIQCAやFLIPなど有効応力法に基づく解析手法(解析コード)は、過剰間隙水圧の発生を予測できる土の非線形モデルを地震応答解析に組み込んだ手法で、忠実に地震時の地盤・構造物の挙動を評価することができます。
地震時に生じる断層の構造物に対する影響解析(2D-DEM)事例

断層実験

断層実験のシミュレーション解析
断層などを有する不連続地盤の解析では、個別要素法による粒状体挙動解析なども実施し、地震時挙動を把握します。
その他:当社が保有する解析技術・解析コード(一部)
解析技術 | 解析コード | 解析内容 | 適応分野 |
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地盤の地震時応答解析技術 | SHAKE | 水平成層地盤の地震応答 | 地盤 |
YUSAYUSA2 | 水平成層地盤の地震応答 | 液状化地盤 | |
地盤~構造物連成解析 | FLUSH2D/3D | 地盤~構造物の相互作用 | 原子力土木施設、地中タンク、杭-地盤系の相互作用、岩盤内空洞の耐震解析技術 |
TDAPⅢ2D/3D | 地盤~構造物の相互作用 | 原子力土木施設、一般土木構造物、共同溝・杭-地盤系の相互作用等地下構造物耐震解析技術 | |
SoilPlus2D/3D | 地盤~構造物の相互作用 | 原子力土木施設、一般土木構造物、共同溝・杭-地盤系の相互作用等地下構造物耐震解析技術 | |
液状化地盤解析 | LIQCA FLIP |
液状化地盤~構造物の相互作用 | 盛土、堤防、護岸構造物、共同溝、原子力土木施設、他 |
ALID | 液状化地盤の流動解析 | 盛土、堤防、護岸構造物 | |
粒状体挙動解析 | PFC2D/PFC3D | 地震時の地盤挙動解析、構造物への影響解析 | 砂・礫状地盤の地震時応答解析、断層地盤 |