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技術概要
各種構造物周辺の地下水の挙動を知ることは、施工時における安全性を確保するとともに、周辺環境への影響を把握するためにも大変重要です。そこで、まず必要となるのが水質(トレーサー)を用いた地下水流動調査です。調査手法にはさまざまな手法がありますが、調査の目的、対象とする地下水流動系の規模などを考慮した上で、適切な手法を選択して調査を実施することが重要です。
安藤ハザマでは、ダム・トンネル・地下発電所などの土木構造物周辺の地下水流動調査として、採取した水サンプルの水質・同位体比を分析・評価し、浸透経路や湧水起源の推定などを行ってきました。また、放射性廃棄物処分の分野において重要となる万年オーダーの長期の地下水年代評価に関する豊富な知見を有しています。

水質を利用した地下水流動調査の実施例

イオン濃度の分析装置(イオンクロマトグラフ)
適用事例
調査結果の一例を以下に示します。これは、ロックフィルダムの湛水前からの貯水池水やダム下流の地下水中の溶存イオン濃度を分析し、その時間変化から貯水池水の到達時間を推定した解析事例です。このような調査を実施することにより、ダムの健全性が確認できます。また、浸透経路を絞り込むことにより経済的な止水工の検討が可能になります。

ロックフィルダムにおける水質調査結果
その他に、トンネル現場では、天然に存在する放射性同位体(トリチウム)によるトンネル湧水の滞留時間の推定、安定同位体(酸素-18・重水素)による地下水のかん養源の推定を実施し、湧水の減少傾向の予測、周辺環境への影響予測を行っています。