技術概要
ダム、トンネル、地盤の掘削工事においては、地下水の動きや湧水対策を検討することが必要となります。また、土壌・地下水の汚染に対しては、コストや工程を考慮した上で最適な対策を立案することが重要となります。
安藤・ハザマでは、地下水の流動や湧水量を予想したり、汚染対策を検討したりするための様々な数値解析プログラムの利用ノウハウを保有し、多くの工事現場や受託研究に適用して成果を上げています。
特長
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地形、地質を迅速に3次元モデル化し、解析を行うことが可能です。
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地下水位等の観測データとの整合性を図るための透水係数等の物性の逆解析を行うことで、解析評価の信頼性を高めます。
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地質統計学手法を利用することで地盤の不均質性に対処します。
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必要に応じて岩盤の亀裂をモデル化し、ネットワークモデルにより湧水量やグラウチング効果の予測を行うことができます。
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放射性廃棄物の地層処分の問題に対しては、地下水の滞留時間(地下水年代)を解析し、岩盤のバリア性能を評価することが可能です。
適用事例-1
沖積層を掘削し、沿岸部に設置する陸上トンネル(ボックスカルバート)を施工する工事に地下水流動解析を適用した例です。
開削部は深さ20m×幅40m×延長200m程度で、鋼管矢板による山留(図中灰色)を行い、ディープウェルにて開削部への浸透水を抑制することが計画されました。
観測井(図中緑色)における潮汐応答計測や揚水試験を行い、地層や基盤岩の割れ目系(図中黄色線)の透水係数を推定した上で、地下水流動解析によりディープウェル(図中赤色)の必要な本数、揚水量、周囲への地下水位や地盤沈下の影響を評価しました。

開削工事おける揚水井戸による水位低下解析結果例
適用事例-2
仮想の岩盤について、グラウチング孔の方向を変えて施工した場合の効果を亀裂ネットワークモデルにより評価した事例です。
亀裂の卓越方向に直角に近い方向の傾斜孔でグラウチングを実施した場合、鉛直孔でグラウチングを実施した場合に比べて、岩盤全体の透水係数が低下し、止水性の観点でより効果的であると評価されました。

岩盤亀裂へのグラウチングの注入予測例

グラウチング前後での岩盤の透水係数の変化
実績
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国土交通省九州地方整備局発注
新若戸道路陸上トンネル部本体築造工事(若松側)
2006年(適用事例として掲載) -
A発電所
地下水の浄化対策検討業務
2019-2020年 -
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構より受託
低流動域に影響する古水理地質学的変遷に関する因子を抽出するための天水浸透解析
2020年 -
一般財団法人電力中央研究所より受託
地下水流動・物質移行計算地下水年代の評価解析業務
2020年