技術概要
ダム貯水池の堆砂は、貯水池容量の減少、上流河床の上昇、下流河床の低下や海岸線の後退の原因になります。したがって、貯水池自体の機能の維持やダムおよび河道の安全確保、流域管理の視点から堆砂に関する対策が必要とされています。
「特殊エジェクター工法〈礫送〉※」は、これらを背景にダム貯水池の土砂管理対策を目的として開発されました。
高圧水を用いて管内に真空を発生させることにより、砂礫土砂を高濃度で吸引し、圧送します。
吸引システムと輸送システムから構成され、吸引部には大きな礫を直径15cm程度に破砕しながら吸引する「スクリュー破砕機」を使用しています。吸引した土砂は直接〈礫送〉に投入して輸送することができます。
※「特殊エジェクター工法〈礫送〉」は、ダム貯水池の浚渫システム(土砂吸引・輸送システム)を中心とした、安藤ハザマ、九州電力、京都大学、西日本技術開発の共同開発技術です。)

特殊エジェクター

特殊エジェクター部内における
高圧水噴射の様子


吸引システムと「スクリュー破砕機」外観
特長
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管の閉塞や詰まりに強く、ゴミや枝葉も吸引・圧送可能です。
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構造がシンプルなので磨耗に強く、内管の交換が容易です。
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貯水池内に設置した輸送管を用いて連続的に運搬することができます。
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システムがコンパクトなので、狭い山間の道路でもアクセスが可能です。
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土砂吸引箇所での濁りが発生しません。
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圧送中に土砂の細粒分を洗い流す洗浄効果があります。
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浚渫土量は水深4~6mで約35m3/h、輸送土量は輸送延長600mで約50m3/h、1,000mで約30m3/hです※。
※土質や粒度、異物混入率により変動します。

水と堆砂の排出状況

水槽内の土砂


吸引・輸送された石や異物

施工実績
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九州電力 耳川水系ダム調整池内土砂移動工事
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東北電力 本名発電所放水口他土砂排除他工事(災害)