技術概要
真空圧を利用して軟弱地盤中の水分を排出し、地盤の圧密沈下や強度増加を図る工法で、軟弱地盤の強度不足、長期沈下の解消・低減対策として有効です。
特長
工期短縮・工費削減を実現
載荷盛土工法に比べ、盛土材の搬入・搬出がなく、地盤強度に応じた段階施工も必要としないので、工期短縮と工費削減が図れます。
均質・確実に広範囲の地盤を改良
真空圧が鉛直ドレーン先端まで確実に作用することで、地盤に5~8tf/㎡の有効荷重が載荷され、地盤内の水分を強制的に吸引・排出することで、短期間で均質な圧密沈下が生じます。そのため、残留沈下を抑制でき、地盤強度の確実な増加が得られます。改良深度はドレーンの打設可能範囲で、30mを越える実績があります。また、広い面積も、3000㎡程度の広さに区分けすることで施工できます。
周辺地盤の変状を軽減
真空圧による強制脱水によって地盤を体積収縮させるため、載荷盛土のような外向きの地盤変位がなく、周辺地盤の変状を軽減できます。また、周辺地盤への影響があった場合にも、真空ポンプを停止することで迅速に対応できます。
環境負荷を低減
セメントなどの固化材を使用する化学的固結工法に比べ、pH等の影響がなく、載荷盛土工法に比べれば盛土搬入出の大型重機等もほとんど使用しないため、安全かつ環境にやさしい工法です。
盛土併用で効果を増大
改良効果を増すために載荷盛土を併用することもできます。また、軟弱地盤での盛土工事に本工法を併用すると、真空圧密によって地盤のすべりが防止できるため、高盛土・急速施工が可能になります。
施工手順

1.ドレーン打設

2.有孔集水管・水平ドレーン敷設

3.気密シート敷設

4.気密シート端部埋め込み

6.真空運転状

真空圧密工法の概要図
施工実績
工事名 | 発注者 | 工事規模 | 備考 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
改良面積(㎡) | 改良深度(m) | ドレーンピッチ(㎝) | 改良体積(㎥) | |||
実証実験工事 (熊本新港) |
400 | 27.0 | 80 | 10,800 | 実証実験 | |
琵琶湖東北部浄化センター(その20) | 日本下水道事業団 | 10,742 | 10.0 | 70 | 107,420 | 基礎杭の横抵抗増大(VE提案採用) |
国道337号当別川下改良工事 | 伊藤組土建 (北海道開発局) |
18,289 | 20.0 | 70~90 | 365,780 | 道路盛土(約13m厚)の急速施工 |
小野川排水機場造成工事(南工区) | 細谷建設 (茨城県) |
3,850 | 11.6 | 80,100 | 44,660 | 基礎杭の横抵抗増大 |
小野川排水機場造成工事(北工区) | 高木建設 (茨城県) |
3,672 | 11.6 | 80,100 | 42,630 | 基礎杭の横抵抗増大 |
高知自動車道 土佐IC工事 |
日本道路公団 | 1,848 | 3~11 | 100 | 12,936 | 墓地移転用地の不同沈下対策 |
一般国道337号当別町川下道路改良工事 | 岩田建設 (北海道開発局) |
16,833 | 20.0 | 70~90 | 336,660 | 道路盛土(約12m厚)の急速施工 |
諫早湾干拓事業小江排水樋門(その1)工事 | 農林水産省 九州農政局 |
3,900 | 14.0 | 80 | 57,153 | 残留沈下量の低減 盛土厚8.5m |
H12土砂処分場減容化 工法検討調査(その2) |
日本海洋開発建設協会(国交省中部地整) | 625 | 20.0 | 100 | 12,500 | 埋立地の減容化 |
道央圏連絡道路 江別市豊栄改良工事 |
北成建設JV (北海道開発局) |
4,800 | 19.6~21.1 | 80 | 96,030 | 残留沈下量の低減 盛土厚10.4m |
余喜排水機場地盤改良工事 | 日本海建設 (農林水産省) |
3,834 | 16.6~19.0 | 70~90 | 67,581 | 残留沈下量の低減 |
千歳川浚渫泥土改良試験業務(土槽実験) | ドーコン (北海道開発局) |
24 | 1.3 | 100 | 31 | 浚渫土改良 |
千歳川浚渫泥土改良試験業務(セル実験) | ドーコン (北海道開発局) |
12 | 1.6 | 100 | 15 | 浚渫土改良 |
太田道路改良工事 試験盛土工 |
若生工業 (国交省東北地整) |
3,569 | 6.0~11.0 | 80 | 31,761 | 道路盛土(12.5m厚)の急速施工 |
新砂高規格堤防(H14)工事土砂改良工 | 新谷建設 (国交省関東地整) |
1,936 | 2.5 | 90 | 3,823 | 浚渫土改良 |
適用地盤および留意点
- 改良面積
制限なし(最大2,000㎡程度を1区画として改良)
- 改良深度
最大40m程度(実績最大27m)
- 適用地盤
軟弱粘土性地盤全般、泥炭層にも適用可能
- 留意点
1.中間層に通水性の高い砂層などがある場合には、適用できないことがある
2.N値10以上の層がある場合には、鉛直ドレーン打設のための補助工法が必要
用途
