技術概要
親子シールド工法とは、親シールド機の中にあらかじめ直径の小さい子シールド機を内蔵した二重構造のシールド機(親子シールド機)を使用し、親シールド機で所定の位置まで掘進を行った後、子シールド機を親シールド機の中より分離・発進させ、小断面のトンネル掘進を連続して行う工法です。また、中間立坑等を利用して、子シールドを親シールドへ改造することもできます。掘進・セグメント組立は従来のシールド工法と同様に行うことができます。
親子シールド機はシールド機本体を分離可能な油圧式等の固定装置で連結しており、子シールド機の分離を容易に行うことができます。一方、カッターは、親子間の外径比が大きい場合は、分離可能な固定装置でカッターを連結した分離型カッターを採用し、外径の差が小さい場合は、伸縮可能な拡縮型カッターで対応します。このような親子シールドにより、中間立坑を用いた分離のみならず、用途に応じて中間立坑を使用しない地中での分離も可能となります。

(a) 親子シールド(縮径)

(b) 親子シールド(拡径)
参照:トンネル標準示方書 シールド工法・同解説 土木学会
特長
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大断面から小断面へ、小断面から大断面へと直径の異なるトンネルを連続して掘進できます。
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カッター、エレクタ、後方設備等を2台のシールド機で共用できるためコスト低減が図れます。
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中間立坑の省略または規模の縮小が図れます。
工法用途
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上下水道、電力・通信、ガス洞道などで、本管と枝管、下流から上流、あるいは1次系から2次系といった、必要内空が異なるトンネル
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鉄道トンネルにおける大断面区間(駅部や留置線トンネルなど)と本線区間のトンネル

適用範囲
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泥水式・土圧式シールド工法のいずれにも適用可能
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分離型カッター:親シールドと子シールドの直径の比率が1:0.9~0.65 程度
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拡縮型カッター:親シールドと子シールドの直径の差が300~1,000mm程度
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地中、気中両方での分離・再発進が可能
適用事例
(1)環7東海松原橋管路新設工事(1工区)<国内初の親子シールド>

子シールド分離状況写真
(2)大阪北共同溝交野寝屋川地区工事<長距離親子シールド・地中分岐方式>

子機テール部の搬入

子機テール部の組立

子機組立完了

親子分離部の状況
施工状況写真(大阪北共同溝 交野寝屋川地区工事)
施工実績
工事名称 | 発注者 | 工法 | 分離地点 | カッタ形式 | 親シールド | 子シールド | ||
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環7東海松原橋 管路新設工事 (1工区) |
東京電力 | 泥水 | 中間立坑 | 分離型 カッター |
外径 | φ7,270mm |
外径 |
φ5,000mm |
延長 | 1,736m |
延長 |
958m |
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大阪北共同溝交野寝屋川地区工事 | 国土交通省 近畿地方整備局 |
泥水 | 地中 | 拡縮型 カッター |
外径 | φ3,910mm |
外径 |
φ3,580mm |
延長 | 2,165m |
延長 |
1,700m |