技術概要
一般的にシールドトンネル同士の接合では、接合個所に立坑を設けることが必要でした。しかし、都市部特有の厳しい路上環境や埋設物が輻輳する路下条件などから、地上からの立坑掘削工事は周辺環境へ影響し、工期・工費が増大するだけでなく、安全性確保等の問題も生じております。
そこで、本技術は立坑を構築することなく、シールド機を坑内から発進または坑内へ到達させることで、周辺へ影響を与えることなく管路接合を行うことができます。
また、流入人孔や換気孔のように立坑とシールドトンネルとの接続では、シールド機を坑内から上向きに発進することで路上占有期間を大きく短縮して、立坑接合を安全・確実に施工することが可能となります。
側面接合
地中T字接合
直接切削セグメントを用いたT字接合
既設構造物の分岐・合流部にあらかじめシールド機で切削可能なセグメント(FFU セグメントなど)を組込むことで、シールド機を直接発進・到達させる工法です。

地中接合イメージ(到達)

地中接合イメージ(発進)
T-BOSS工法
シールド機に格納装備された切削補強リングにより既設トンネルを直接切削・貫入することで、鏡切り作業を省略し、新設トンネルをT 字型に機械接合する工法です。

T-BOSS工法
特長
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立坑が不要なため地上環境への影響がありません。
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分岐・接合箇所を任意の位置に設定できます。
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シールドトンネルを直接切削することで、地山を開放することなく安全に施工できます(施工条件により坑内からの補助工法を併用)。
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開口補強用セグメントを使用することで、一次覆工と同時に開口補強工事が完了するため、後から開口補強工事を施工する従来工法と比べ施工期間を短縮できます。
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従来工法と比べ、防護・補強工やセグメント解体などの工程を省略でき、工期・工費を低減できます。特に大深度になるほどその効果が大きくなります。
立坑地中接合(上向きシールド工法)
既設のシールドトンネル坑内から地上に向けて、シールド機を発進させて立坑を構築する工法です。

上向きシールドイメージ図(到達)
特長
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シールドトンネル坑内から発進することで、到達の準備や到達時以外の地上作業が不要となり、道路占用期間を短縮できます。
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シールドトンネル坑内から発進するため、接合精度が高く接合部の確実な止水性が得られます。
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直接切削が可能なセグメントを使用することで、発進防護の地盤改良範囲を最小限にできます。
シールドトンネル同士の地中正面接合
地盤改良併用
既設シールドトンネル直近までシールド機を掘進し、凍結工法等により地盤を改良した後に既設シールドトンネルと新設シールドトンネルの正面接合を行う工法です。

地中正面接合(地盤改良併用)イメージ図
メカニカル方式
CID工法
2台のシールド機の一方を引込み側、他方を押込み側とし、引込み側シールド機の内筒を本体とともに後方へ引き込んだ後、押込み側シールド機を貫入させることによって、機械的に正面接合を行う工法です。
MSD工法
2台のシールド機を各々、貫入リング押出側シールド機と受入側シールド機として一対製作し、その2台のシールド機の持つ接合機構を用いて機械的に正面接合を行う工法です。
特長
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2本のシールドトンネルを地中接合することで、接合地点の深度や地上利用状況の制約を受けることなく、長大トンネルを構築することができます。
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地中接合の場合と同様に立坑が不要なため、接合個所での地上環境への影響がありません。また、接合個所を任意の位置に設定できます。
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メカニカル方式では補助工法を用いることなく、シールド機の地中接合が安全・迅速にできます。
適用例
北浜逢阪貯留管築造工事(その1)
側面接合(到達)

到達坑口隔壁設置

接続完了
上向きシールド工法

上向きシールド機全景

左:上向きシールド機搬送状況、中央:上向きシールド機組立完了・発進、右:上向きシールド到達状況
第二溜池幹線及び勝どき幹線その2工事
側面接合(発進)

坑内発進シールド機

発進状況
正面接合

施工概要図況

正面接合完了状況
施工実績(代表例)
工事名称 |
発注者 |
本線 |
分岐・合流側 セグメント外径 |
分岐・合流方法 |
直設切削部材 |
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北浜逢阪貯留管築造工事 (その1) |
大阪市 |
φ6,600mm |
φ4,650mm |
坑内到達 | FFU |
φ4,000mm |
坑内発進 | FFU |
|||
φ3,550mm |
坑内発進 (上向きシールド工法) |
FFU |
|||
第二溜池幹線 及び勝どき幹線 その2工事 |
東京都 |
φ8,800mm |
φ4,300mm |
坑内発進 | FFU |
φ6,500mm |
正面接合 地盤改良併用 (凍結工法) |
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