技術概要
都市のトンネルは、通常は公共用地である道路下等に建設されますが、複数のシールドトンネルを併設する際に、トンネルの占有幅が建設可能な用地の幅に収まらないような場合があります。このような場合、後行するシールドが先行トンネルの断面の一部をオーバーラップして施工することで、各々独立したトンネルとするとともに、建設用地幅を抑制することができます。

シールドのオーバーラップ施工

占有幅、掘削断面積の低減
本工法では、次の2種類の覆工構造を用います。
- シールドの漸近する、またはオーバーラップ量の少ない区間では「タイプ-A」として切削部分を一体化したセグメントを配置します。
- オーバーラップ量の多い区間では、「タイプ-B」として先行トンネルのオーバーラップする部分に「切削セグメント」、後に組み立てる「本体壁」を接続する「特殊構造セグメント」を配置します。「切削セグメント」と「特殊構造セグメント」は、自身のシールド掘進時にエレクターで組み立て、シールド掘進後に「本体壁」をボルト締結等で組み立てます。
また、先行トンネルの切削部は通常のカッタービットで切削できるので、後行シールドに特別な装備を必要としないことも特長です。

シールドの漸近区間に用いる覆工構造「タイプ-A」

シールドのオーバーラップ区間に用いる覆工構造「タイプ-B」
特長
通常の並列シールドトンネルと比較して
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占有幅を低減できます。
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掘削土量を低減できます。
従来の複円形シールドと比較して
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路線上の任意の位置でオーバーラップさせることができるので、占有幅が部分的に狭い路線条件にも適用できます。
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シールド機は通常の単円シールドなので、シールド機費用を低減できます。
シールド施工では
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先行シールド、後行シールドともに、概ね通常のシールド施工設備で対応可能です。
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泥水式、泥土圧ともに可能なので、施工法の制約がありません。
実証実験例
本工法の先行トンネルは完全な円形でなく、また後行シールドの切削施工時に、自身の一部が切削されることとなります。このため、実物規模でのセグメント(外径φ2.45m)を製作し、泥土圧推進機(外径φ1.63m)を用いて実施工を想定した切削実験を行いました。
実験の結果、切削をスムーズに行うことができ、切削による先行トンネルへの負荷的な荷重の発生もなく、安全に施工できることを確認しました。

実験体詳細

実験体、推進機構配置

切削状況
実績
工事名称 |
発注者 |
用途 |
地中拡幅の対象 |
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オーバーラップシールド工法実証実験 | - |
- |
セグメント外径φ2450mm |