技術概要
コンクリートは、内部の水分が蒸発することで収縮し、ひび割れが生じます(乾燥収縮ひび割れ)。乾燥収縮ひび割れは、建築物の美観上の問題だけでなく、機能性や耐久性に大きな影響を与えます。乾燥収縮ひび割れへの対策として、骨材や化学混和剤、混和材料を使用する事例が多く見られるようになってきましたが、それらを組み合わせた時の効果や、使用材料が異なる場合の影響などについては分からない点が多くありました。
当社では、これらの材料の最適な組み合わせを明らかにすることで、乾燥収縮ひずみを、0~800×10-6※1の範囲で制御可能な、『フィットクリート®』の技術を確立しました※2。
※1:長さの変化率(例)800×10-6=長さ1mのコンクリートが0.8mm縮む。μ(読み:マイクロ)と表記する場合もあります。
※2:安藤ハザマ、株式会社熊谷組、佐藤工業株式会社、戸田建設株式会社、西松建設株式会社、株式会社フジタ、前田建設工業株式会社の7社による共同で実施した成果です。
特長
乾燥収縮ひずみの目標値に合わせてコンクリートの目標性能クラスを設定しており、要求性能、コスト、地域性(骨材事情)、工場に供給できる材料を考慮して使用材料を選択することができます。
目標性能クラス |
乾燥収縮ひずみの目標値 |
コスト※ |
---|---|---|
収縮ゼロクラス |
0~100×10-6 |
約2.0倍 |
低収縮クラス |
250×10-6程度 |
1.5(1.3~1.6)倍 |
高耐久クラス |
400×10-6程度 |
約1.3倍 |
一般的なコンクリート |
600~800×10-6 |
- |
※一般的なコンクリート比。ただし、地域性(骨材事情)や生コン工場に供給できる材料の制約などによって価格は異なります。

フィットクリート®による乾燥収縮ひずみ制御の概念図
適用物件
収縮ゼロクラスは、壁面に開口が多く、目地の無い、ひび割れが美観に大きな影響を及ぼす物件に適用しています。また、低収縮クラスおよび高耐久クラスは、物流倉庫施設の床をはじめとし、多数の現場に適用しています。今後もコンクリートの高品質化をめざし、さらなる適用拡大を推進していきます。

ひび割れ抑制効果の実証(技術研究所 創造実証棟にて)