技術概要
シールド工法の技術的な進化により、大断面、大深度、長距離、急曲線・急勾配など、かつては不可能とされてきた規模や線形のシールド施工が増えてきています。
当社は、多種多様なシールド工事の施工経験とともに、新技術の開発導入により安全で品質の高い、そして施工性、経済性にも優れたシールドトンネルの構築を行っています。
大断面施工 ~多様な土質に対する切羽安定を軸にし、φ10m級以上の大断面シールド施工を実現~
従来の地下鉄や地下河川に加え、高速道路や新幹線などシールドトンネルの大断面化が当然のようになっています。
当社は、その施工における最大の課題である切羽安定と地盤の変状抑制に関する技術(適切な切羽管理、泥土・泥水の品質管理、同時裏込め注入の採用など)、大型化する覆工に関する技術(合理的なセグメント構造・継手構造など)、さらには効率的な施工に関する技術(セグメント組立の効率化、大量の土砂の搬送・処理技術など)、新たな技術の開発と導入によって実績を積み重ねています。

シールドマシン

シールド堀進・セグメント組立

坑内作業
主な施工実績(大断面施工)
工事名称 |
発注者 |
シールド外径 |
工法 |
---|---|---|---|
首都高速神奈川7号横浜北西線シールド トンネル建設工事 |
横浜市 |
φ12.64m |
泥水 |
中央環状品川線大橋連結路工事 | 首都高速道路株式会社 |
φ9.70m |
泥土圧 |
常新、弘道T他 | 日本鉄道建設公団 |
φ10.60m |
泥水 |
大深度・高水圧施工 ~大深度地下利用に対応した高土圧、高水圧下でのシールド施工~
高水圧への対応をメインテーマに地上、そして地下の浅層部も飽和状態にある都市部においては、大深度地下空間の有効利用なくしてインフラストラクチャーの整備・拡充は不可能です。
高い切羽圧への対応と管理(添加材による確実な塑性流動化、スクリューコンベヤー排土口での噴発防止など)、および、シールド機やセグメントの止水性(テールシール部での止水性、セグメント本体や継手の止水性)の確保が必要不可欠であり、技術開発と実績を積み重ねています。

大深度立坑からのシールド施工
(大容量送水管(奥平野工区)整備工事)

大深度シールド坑内の状況
(葛西橋通り付近管路新設工事)
主な施工実績(大深度・高水圧施工)
工事名称 |
発注者 |
シールド外径 |
土被り |
---|---|---|---|
首都高速神奈川7号横浜北西線シールド トンネル建設工事 |
横浜市 |
φ12.64m |
67m |
葛西橋通り付近管路新設工事 | 東京電力パワーグリッド |
φ3.55m |
54m |
北浜逢阪貯留管築造工事(その1) | 大阪市 |
φ6.75m |
50m |
第二溜池幹線及び勝どき幹線工事 | 東京都 |
φ9.00m |
42m |
大容量送水管(奥平野工区)整備工事 | 神戸市 |
φ3.48m |
平均 47m |
長距離・高速施工 ~「止まらないシールド」を目指し、シールド機の耐久性と施工サイクルの向上を追求~
近年、シールド施工の長距離化が著しく進んでいます。この背景には、立坑や発進基地の用地確保の難しさ、大深度化に伴う立坑建設費の増大といった問題と同時に、シールド機の耐久性向上も大きな要因となっており、シールド施工の長距離化は、立坑や機械・設備の減少による工期の短縮や経済的メリッ卜を生んでいます。
長距離施工においては、耐久性に優れ、変化に富む土質に対応するシールド機が必要不可欠です。これに対応して、ビットの材質向上や効率的な形状・配置、補助ピットの装慎、地盤改良を伴わないビット交換機能の開発などを中心に、シールド機の改良を進めています。
また、施工サイクルでは、掘進速度の向上(ジャッキ速度アップ)や、セグメント組立高速化(エレクターの向上や掘進中のセグメント組立技術の導入)を行うとともに、セグメント等の資機材搬送を高速化し、掘進組立サイクルを高速化しています。さらに、シールド機やその設備の状態を常時モニタリングし、不具合が出る前に修繕・補修する予防保全を行うことで、究極の高速化である「止まらないシールド」を目指しています。


セグメント供給装置

多目的運搬車両(MSV)
主な施工実績(長距離施工)
工事名称 |
発注者 |
シールド外径 |
延長 |
---|---|---|---|
首都高速神奈川7号横浜北西線シールド トンネル建設工事 |
横浜市 |
φ12.64m |
3.8km |
葛西橋通り付近管路新設工事 | 東京電力パワーグリッド |
φ3.55m |
6.2km |
20号調布(2)共同溝他工事 | 国土交通省 |
φ4.04m |
1.8km |
北浜逢阪貯留管築造工事(その1) | 大阪市 |
φ6.75m |
4.8km |
大隅~十八条幹線下水管渠築造工事(その10) | 大阪市 |
φ6.02m |
4.0km |
第2霞目幹線築造工事1 | 仙台市 |
φ3.55m |
3.8km |
急曲線・急勾配施工 ~トータルな技術対策と確実な施工管理で高品質を実現~
シールドトンネルは、一般的に道路下や河川下の公共用地にルート設定されるため、道路や河川の線形に沿った施工が要求されます。また、地中の既設構造物を避けるために急曲線・急勾配施工が必要とされる場合も増えています。一方で、急曲線・急勾配施工は立坑立地やトンネル線形の自由度を高め、中間立坑の省略や立坑深度を浅くできるなどのメリットを生んでいます。
急曲線施工では、シールド機の中折れ機構やコピーカッターの装備、セグメン卜の補強、早期裏込めによるセグメントの安定などが要求されます。また、急勾配施工では、土砂や資機材の輸送能力向上と安全性確保が課題となり、パイプ庄送やアブ卜式などの輸送方式の適用がポイン卜となります。
こうした総合的な技術的対策とともに、スマートシールド®による線形管理や方向制御システムによって、急曲線・急勾配施工における高品質の施工実績を重ねています。

平面図
主な施工実績(急曲線施工)
工事名称 |
発注者 |
シールド外径 |
工法 |
最小曲線半径 |
---|---|---|---|---|
高尾川地下河川築造工事 | 福岡県 |
φ6.14m |
泥土圧 |
16m |
本町幹線下水管渠築造工事 | 大阪市 |
φ4.04m |
泥土圧 |
20m |
大隅~十八条幹線下水管渠築造工事(その10) | 大阪市 |
φ6.02m |
泥水 |
30m |
中村中部雨水幹線下水道築造工事 | 名古屋市 |
φ4.69m |
泥土圧 |
15m |
本田~市岡幹線下水管渠築造工事(その4) | 大阪市 |
φ4.69m |
泥土圧 |
25m |
主な施工実績(急勾配施工)
工事名称 |
発注者 |
シールド外径 |
工法 |
勾配仕様 |
---|---|---|---|---|
平成9年度1号中川共同溝工事 | 国土交通省 |
φ5.19m |
泥水 |
-7.3%~15% |
首都高速神奈川7号横浜北西線シールド トンネル建設工事 |
横浜市 |
φ12.64m |
泥水 |
-5%~3% |
中央環状品川線大橋連結路工事 | 首都高速道路 |
φ9.70m |
泥土圧 |
-7% |