技術概要
近年、技能労働者の不足、コンクリート構造物の大型化・高密度配筋の増加などの課題に対し、生産性向上の一環として、工場製作したコンクリート部材を現場で組立てるプレキャスト化の推進が求められています。
安藤ハザマでは、これまでボックスカルバート、シールドトンネル内の道路床版、共同溝の仕切り壁、下水人孔の側壁や床版など、さまざまな地下構造物にプレキャスト部材を適用してきました。さらに、切梁や中間杭が輻輳し、従来はプレキャスト部材の移動や組立が困難となっていた開削トンネルにおいても、坑内専用台車の設置、最適な部材分割などの工夫により、適用範囲の拡大を図っています。

ボックスカルバート

シールドトンネル内の道路床版

下水人孔の側壁
プレキャストの適用事例
特長
現場打ちコンクリートに比べ、以下の特長があります。
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現場での作業は、プレキャスト部材の搬入・組立が主体となるため、工期短縮や省人化が可能。
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工場製作のため、高品質なコンクリートとなり、さらに、鉄筋被りを小さくできるため、部材断面の縮小が可能。
適用例
①開削トンネル内部構築への適用例:中央環状品川線 五反田換気所下部工事
切梁や中間杭が輻輳する大規模開削トンネルの内部構築において、中壁、柱および梁をプレキャスト化し、専用台車を使用して狭隘な坑内を運搬・設置しました。なお、中床・上床スラブには、鋼製型枠を適用し、型枠支保工の低減と型枠の解体を不要としています。
発注者
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東京都財務局
施工者
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安藤ハザマ・日本国土・西武建設JV
工期
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2008年12月~2013年7月
規模
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延長145.2m×幅員20.9m×高さ18.0m

プレキャストの適用範囲

中壁設置状況

柱・梁設置状況

中壁接続状況

完了全景
②シールドトンネル内部構築への適用例:高速横浜環状北西線シールドトンネル建設工事
大断面・長距離のシールドトンネルの内部構築において、インバート、道路床版(PC床版)をプレキャスト化し、シールド掘進と並行作業とすることで、工期を短縮しました。なお、PC床版は多目的運搬車両(MSV)でインバート階にて運搬し、自走式の床版設置台車を使用して側壁上に設置しています。
発注者
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横浜市道路局
施工者
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安藤ハザマ・岩田地崎・土志田・宮本土木JV
工期
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2015年5月~2019年12月
規模
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一次覆工 泥水式シールド工法(シールド機外径φ12.64m×延長3,890m)
坑内コンクリート工 PC床版工 延長 3,890m 、W=8.35m

プレキャストの適用範囲

インバート設置状況

自走式の床版設置台車(インバート走行型)

道路床版(PC床版)設置状況
主な施工実績
工事名称 |
発注者 |
竣工年 |
用途 |
プレキャスト適用箇所 |
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国道51号切替その他工事 | 成田国際空港株式会社 | 2008年 |
道路 |
ボックスカルバート |
成田高速線、松崎トンネル | 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 | 2010年 |
鉄道 |
ボックスカルバート |
大阪北共同溝枚方・交野地区洞内設備他設置工事 | 国土交通省近畿地方整備局 | 2011年 |
共同溝 |
シールドトンネル内の仕切り壁 |
天満堀川抽水所滞水池築造工事(その1) | 大阪市建設局 | 2012年 |
下水道 |
特殊人孔の中床版 |
中央環状品川線大橋連結路工事 | 首都高速道路株式会社 | 2012年 |
道路 |
シールドトンネル内のTRC床版、独立避難通路 |
箱崎9号幹線 | 福岡県福岡市 | 2013年 |
下水道 |
特殊人孔の側壁 |
中央環状品川線五反田換気所下部工事 | 東京都財務局 | 2013年 |
道路 |
開削トンネルボックス内の中壁、柱および梁 |
高速横浜環状北西線シールドトンネル建設工事 | 神奈川県横浜市 | 2019年 |
道路 |
シールドトンネル内のPC床版、インバート |
札樽自動車道 銭函IC改築工事 | 東日本高速道路株式会社 | 2020年 |
道路 |
ボックスカルバート |