技術概要
シールド切拡げ技術とは、新たな構築を追加するために、既設シールドトンネルの覆工を開口して内空を拡幅する技術のことです。この技術は、地下鉄の駅や道路トンネルの分合流部などの施工に用いられており、都市部における地下空間の利用拡大に貢献しています。
シールド切拡げ技術には、地表面から掘削して、既設シールドトンネルを露出して切拡げる「開削切拡げ工法」と、地表面から掘削することなく、既設シールドトンネルの内部から切拡げる「非開削切拡げ工法」があります。共に2本の既設シールドトンネルの覆工の一部を開口して、地下空間を拡幅することにより、新たな構築を追加します。
輻輳した都市地下空間でのトンネルの建設において、シールドトンネルの用途はますます拡大しつつあります。また、将来的に、老朽化した地下構造物のリニューアルやバイパス構築などの高付加価値化が期待されます。それらに伴い、シールドトンネルを切り拡げてさらなる空間を構築するシールド切拡げ技術のニーズが今後も増えていくと思われます。安藤ハザマは、道路トンネルの分岐・合流部(ランプ部)の施工を中心に数多くのシールド切拡げ技術を用いた工事を行っています。
特長
開削切拡げ工法
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開削工法でトンネルを構築する場合より、掘削範囲や深度を小さくできます。
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開削工事とシールド掘進を並行して行うことが可能であるため、工事全体の工程を短縮できます。
非開削切拡げ工法
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地中での施工となるので、工事に伴う交通渋滞や沿道への騒音・振動などの影響を抑制できます。
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掘削土量を低減できるので、ダンプなどの工事車両の通行量を低減できます。
適用事例
中央環状新宿線 SJ34工区(1-4・2)西新宿北連結路トンネル工事
中央環状新宿線の出入り口の分岐・合流部の建設において、離れている2本の本線シールドトンネルの上部にパイプルーフを設置し、隣接する立坑からトンネル縦断方向にかけて、非開削切拡げ工法により施工しました。
- 切拡げ対象:シールドトンネル外径φ11.36m×2本(離隔7~12m 別途施工)
- 施工延長:約100m
- 土被り:約7m
- 土質:東京層(締まった砂層,粘性土槽,礫層の互層)


分岐・合流部の概要














施工ステップ図
施工実績
開削切拡げ工法
工事名称 | 発注者 | 用途 | 地中拡幅の対象 |
---|---|---|---|
首都高中央環状新宿線 SJ23(2)新宿南出入口 トンネル工事 |
首都高速道路株式会社 |
道路 |
外径φ12.38m×2本 延長190m |
首都高中央環状品川線 五反田換気所下部工事 |
東京都財務局 | 道路 |
外径φ12.3m×2本 延長21m |
首都高中央環状品川線 SJ14工区(1)EF連結路 トンネル工事 |
首都高速道路株式会社 | 道路 |
外径φ12.65m×1本 延長44m |
非開削切拡げ工法
工事名称 | 発注者 | 用途 | 地中拡幅の対象 |
---|---|---|---|
中央環状新宿線 SJ34工区(1-4・2)西新宿北連結路 トンネル工事 |
首都高速道路株式会社 | 道路 |
外径φ11.36m×2本 延長100m |
中央環状品川線大橋連結路工事 | 首都高速道路株式会社 | 道路 |
外径φ9.5m,φ12.3m 延長 210m(上層)、180m(下層) |
高速横浜環状北西線 シールドトンネル建設工事 |
横浜市道路局 | 道路 |
外径φ12.4m×2本間を結ぶUターン路 高さ5m×幅8.4m、延長約10m |
東京外かく環状道路 東名東名ジャンクションランプ シールドトンネル・地中拡幅工事 (南行) |
東日本高速道路株式会社 | 道路 |
本線シールドトンネルと ランプシールドの分流部を 非開削切拡げ工法により施工 |