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速い!安い!高品質!最先端のダム「台形CSGダム」を見に行こう!
ハザ丸 | 「ねえねえ、アン姉さん、どこか現場見学に行こうよ!おいしいものが食べられる地域の現場がいいな〜」 |
アン姉さん | 「明らかにご当地グルメが目的ね…。動機は不純だけど、現場を見に行きたいならヨシとしようか。ちょうどおもしろそうなダム現場があるわよ!」 |
東京から飛行機で降り立ったのは、北の大地・北海道!
現場があるのは、新千歳空港から東へ車で約40分に位置する厚真町。特産品はお米にジンギスカン、ハスカップなどなど。
ハザ丸 | 「では早速ジンギスカンのお店に…」 |
アン姉さん | 「はいはい、現場に行きますよ〜」 |
厚幌ダムチーム、地域の皆さまに支えられてゲンバってます!
2人を迎えてくれたのは、所長のまーくん、副所長のあっちゃん、事務課長のおっくんのおじさまトリオ。まーくんとあっちゃんは通称「ダム屋」。これまで数々のダムの現場を渡り歩いてきたダムのプロフェッショナル!
ハザ丸 | 「そもそも、ダムってどんな役割があるの?」 |
まーくん | 「洪水対策、水力発電など、その場所によってさまざまだね。厚幌ダムは、おもに洪水対策やかんがい用水、水道用水の確保がおもな目的。厚真町は昔から洪水と水不足の両方に悩まされていた地域で、ダム建設は地域の皆さんの長年の願いだったんだ」 |
あっちゃん | 「おかげさまで、地域の皆さまには幅広くサポートをしていただいているよ。特にありがたいのは食事面。現場にいるメンバーは独身や単身赴任が多いから、あったかい手料理が沁みるんだ〜」 |
おっくん | 「地域のお祭りに参加させてもらうなど、プライベートでも楽しませていただいているよ。また、地域の皆さん向けに『厚幌ダム通信』を毎月発行しているんだ。ここでは工事の状況を報告したり、ダム関連のコラムを入れたりと、ダム完成を楽しみにしてもらえるように工夫しているよ」 |
これがダムの最先端!「台形CSGダム」ってなに?
まーくん | 「厚幌ダムは『台形CSGダム』という珍しい型式で、日本ではまだ3例目、当社としては初の試み。簡単にいうとおまんじゅうみたいになっているんだよ」 |
アン姉さん・ハザ丸 | 「おまんじゅう!?詳しく聞かせて!」 |
まーくん | 「さすが食いしん坊の2人、いい反応だね(笑)。台形CSGダムとは、断面のかたちが“台形”で“CSG”という材料を使ったダムのこと。日本の一般的な重力式コンクリートダムは“直角三角形”になっているのだけれど、大量の水をせき止める際に一点に非常に大きな力がかかるため、強度の大きなコンクリートを使用する必要がある。その点、台形はかかる力を分散することができるため、強度の小さな材料でも使用することができるんだ」 |
ハザ丸 | 「その材料がCSGってこと?」 |
まーくん | 「正解!CSGとは、河原の砂や砂利、工事で発生する岩石などをセメントと水で固めた材料のこと。台形CSGダムは、CSGという“あんこ”を強度の大きなコンクリートで覆う構造、だから“おまんじゅう”ってわけだね」 |
あっちゃん | 「ちなみに、台形CSGダムの施工は国内では3例目で、当社では初の試み。にもかかわらず、過去2例に比べて着手からダム本体完成までの工期が大幅に短縮できたんだ。」 |
アン姉さん・ハザ丸 | 「ということは…」 |
まーくん・あっちゃん | 「国内トップクラスのスピード施工だったんだ!」 |
現場では、この目標のために全員が昼夜をとおしてがんばったんだとか。
思わず声がそろい、うれしさを隠しきれない2人なのだった。
スピード施工の秘密はCSG材料の現地調達&製造!
アン姉さん | 「ところで、ダムの内部にCSGを使うのはどうして?」 |
まーくん | 「メリットはたくさんあるんだけど、一番は、環境にやさしくてコストもかからないことだね。CSGに使う砂利や砂は、コンクリートをつくる材料に比べて品質が低くても大丈夫なんだ。あとは材料になる砂利や岩石を現場で調達できることも利点だよ。」 |
そして、現地の砂利からCSGを作るのが、『CSG混合設備』!
まーくん | 「混合設備は2つの構造になっていて、ベルトコンベアで運ばれてきた岩石とセメントを落下させながら混ぜるのが『DKミキサ』、さらに枝状についたハネを回転させながら霧状の水を加えて混ぜるのが『DKP-Ⅱミキサ』だよ。『DKP-Ⅱミキサ』は当社の独自で開発した自信作!そして、2つを組み合わせるのは日本初だね。品質のよいCSGが大量かつ高速でできるスーパーウェポンさ。フフフ」 |
ハザ丸 | 「(小声で)まーくん、またまたうれしそうだね」 |
アン姉さん | 「それだけ現場に愛情と誇りを持ってるってことね♪」 |
どんどんダムが積み上がる!「CSG打設」のしくみ
現場見学に行ったときはダムの堤体は完成し、CSGはすでにコンクリートの中。
ハザ丸 | 「この巨大なおまんじゅうはどうやってできたのかな?本物のおまんじゅうのようにコンクリートでクルッと包むわけにもいかないよね?」 |
あっちゃん | 「中身のCSGを打設してから外側のコンクリートを打設、という作業を行いながら少しずつ積み上げていくんだよ。CSGの施工は、上まで到達するまで約8か月かけて60回以上繰り返したかな」 |
アン姉さん | 「60回以上!?こりゃまた途方もない…」 |
まーくん | 「少しずつ積み上げるのは、完成後の水の力に負けない強度を備えるためなんだ。振動や重力を与える『締め固め』という作業で頑丈にしていくよ」 |
下の写真は、締め固めに使う機械。
ハザ丸 | 「コンクリート用のバイブレータがフォークみたい!」 |
絶景&スリル満点のダムの上へ!
あっちゃんの案内でダムの上にやってきたアン姉さん&ハザ丸。
間近で見たそのスケールの大きさに圧倒!
あっちゃん | 「ダムは全長516m。一般的なダムは300mクラスなのでかなり大きめになるね」 |
アン姉さん | 「あれっ?下流側の一部が階段みたいになっているのはどうして?」 |
あっちゃん | 「あれは“階段式洪水吐”といって、川に放流する水の勢いを弱める役割があるんだよ。その先にある“副ダム”でゆるやかな流れにして川の環境を壊さないようにしているんだ」 |
ハザ丸 | 「上流側に水を溜めると思うけど、どうやって溜めていくの?」 |
あっちゃん | 「現在、ダムの間に細い川が流れているんだけど、完成したらコンクリートで塞いで川をせき止めるんだ。その水が上流部に充分溜まるまで、計算では約7ヶ月かかる予定だね」 |
アン姉さん・ハザ丸 | 「な、ななかげつも…!?」 |
ダムの規模の大きさを改めて痛感する2人なのだった。
厚幌ダムは今後、川をせき止めてから255日間水を溜め、貯水時に問題がないかなどを確認する「試験湛水」を行う。完成予定の2019年3月には、厚真町の生活を支える勇壮なダムの姿が見られるのだ。
北の大地で若手もゲンバってます
さてさて、今回も恒例の若手社員にインタビュー!
今回は入社2年目のがんちゃんと、1年目のぐっちゃん&しもちん。
がんちゃん | 「ダムが積み上がる様子を間近で見て来ましたが、どんどん高くなるのは爽快でした。こんなに大きな構造物を自分が手がけていると思うと、やりがいも大きいですね!」 |
ぐっちゃん | 「僕は事務として、書類の手続きや住居の手配など、社員や職人さんが気持ちよくお仕事できるようにサポートしています。職人さんと顔を合わせるのはたまにですが、感謝の言葉をかけてもらえるとうれしいですね」 |
しもちんは、取材時点でわずか配属2か月目!第5・6回で取材した新入社員研修にも参加していたそう。
しもちん | 「やっぱり実際の現場と研修はいろいろ状況が違いますね。大変ですけど、研修で学んだ測量の基礎はとっても役に立っています!」 |
新入社員研修の講師のみなさーん!立派に成長してますよー!
いろいろあります施工物件in北海道!!
ダム現場をあとにして、札幌に到着したアン姉さん&ハザ丸。
ハザ丸 | 「それではお待ちかねのおいしいもの食べに行こうか〜!」 |
アン姉さん | 「おっと、グルメもいいけれど、札幌の施工物件もお忘れなく!」 |
アン姉さん | 「北海道内だと、この他に稚内防波堤ドーム、札内川ダム、浦幌乳業株式会社製造棟などがあるわね。稚内防波堤ドームは北海道遺産にも認定されているのよ」 |
ハザ丸 | 「おもしろそう!見に行こうよ!」 |
アン姉さん | 「これから最初の稚内まで行くとなると…ざっと車で6時間かかるわね」 |
ハザ丸 | 「そ、そんなに!?やっぱり北海道の広さは想像以上だね…」 |
北海道に感化されたふたりであった。
アン姉さん | 「それじゃあどうするか、北海道グルメを堪能してから考えようか。まずはカニ料理のお店にLet’s GO!」 |
ハザ丸 | 「待ってましたーー!!」 |
<工事概要>
工事名称: | 厚幌ダム建設事業 ダム本体工事 |
所 在 地: | 北海道勇払郡厚真町幌内地先 |
発 注 者: | 北海道胆振総合振興局 |
設 計 者: | 株式会社ドーコン |
施 工 者: | 安藤ハザマ・岩田地崎・田中特定建設工事共同企業体 |
工 期: | 2014年10月8日~2019年3月20日 |
工事概要: | 堤高47.2m、516.0m、堤体積48.1㎥の台形CSGダム |
用 途: | ダム(洪水調節・流水の正常な機能の維持・かんがい用水・水道用水) |
取材時期: | 2016年10月 |