住宅建設で被災地の復興を応援!気仙沼駅前の災害公営住宅建設現場を訪れました
今回のゲンバるは、冬も深まる中、進路を北へ!
漁業の町・宮城県気仙沼市。その気仙沼市に建設中の「災害公営住宅」が今回の現場だ。
災害公営住宅とは、災害で家屋を失った被災者の方が恒久的に入居できるよう建設される住宅のこと。
沿岸にある気仙沼は東日本大震災で15,815棟(2014年3月31日時点)が被災、今なお仮設住宅で暮らす方も多い。
急ピッチで被災地域の復興事業が続く中、気仙沼市に建てられる災害公営住宅の締めくくりが
この「気仙沼市気仙沼駅前地区災害公営住宅」なのだ。現在は12階建ての第1工区の建設を進めており、2016年10月に完成予定。
その横に建つ13階建ての第2工区は2017年の5月に完成予定だとか。
アン姉さん | 「安藤ハザマは震災以降、気仙沼でタグラグビーの大会を開いたり、ボランティア活動での関わりも深いのよ」 |
ハザ丸 | 「そうなんだ!でも気仙沼駅前の災害公営住宅って今までの住宅建設とどう違うの?」 |
アン姉さん | 「じつは、これまでにない工法で建てられているんだって。あとは着いてのお楽しみ♪」 |
そんな会話をしつつ、気仙沼駅に到着。
取材は11月中旬、東北の寒さを覚悟してやってきたら…あれ、暖かい?
当日の気温はなんと20℃。恐るべし、ハザ丸の晴れ男パワー!
施工現場は本当に駅前だった!
さていざ現場へ。駅のホームから移動しようとしたら…
アン姉さん | 「ハザ丸、現場はそこよ~」 |
というわけでゲンバる史上、もっとも駅からのアクセスが良い現場の模様。
さっそく現場事務所を訪れると、作業所の皆さんがお出迎え。
(あれ、カツオとサンマもいる!?)
そして今回の作業所長、いぶし銀の魅力光る!たいちょーが登場。
ハザ丸、まずは「これまでにない工法」について質問。
たいちょー | 「ハザ丸はPCaってわかるかな?」 |
ハザ丸 | 「建てる部材をあらかじめ作っておく『プレキャストコンクリート』工法だよね? でもそれなら、これまでも出てきたよ?」 |
たいちょー | 「じつはこの災害公営住宅は、すべてをPCaで建てている、つまり『フルPCa』なんだよ」 |
通常の住宅建設の場合、PCaを使用するとしても一部分。しかし今回のようにフルPCaで12階建ての住宅を建てるというのは、
安藤ハザマでも初めてのこと。
すべてのPCaをあらかじめ設計し、埼玉や北海道のほか、中国などの工場で製作したPCaを気仙沼に集めて、組み上げていく。
なんだか巨大なプラモデルのよう!
ハザ丸 | 「でもどうしてフルPCaで建てているの?」 |
たいちょー | 「まず、普通に建てるよりも職人さんの数が少なくて済むんだ。気仙沼は仙台などの都市部と離れていて、 職人さんの確保が難しいからね。また、気仙沼は今あちこちで復興工事が行われていて、宿泊施設も不足している。 だから作業員宿舎を建てて、職人さんはみんなそこから通っているよ」 |
たいちょー | 「他にも、天候にあまり左右されず、工期も従来の工法より短縮できるというメリットがあるんだ」 |
アン姉さん | 「すごい!でも、デメリットはないの?」 |
たいちょー | 「もちろん、なくはない。まずは従来の工法に比べてコストがかかるということ。 そして、図面チェックが膨大になるという点かな(遠い目)…PCa1つにつき、1枚の図面が必要だからね」 |
ハザ丸 | 「どのくらい大変なの?」 |
たいちょー | 「例えば1工区は全部で64戸なんだけど、図面はざっと1,200枚」 |
ハザ丸 | 「せ、1,200枚!?」 |
第2工区は130戸、つまり図面もほぼ倍になるとか…頑張ってください、たいちょー!
とにかく早い! フルPCaの建設現場は驚きの連続
たいちょーの話に驚いたアン姉さんとハザ丸、いよいよ建設現場へ。この時は7階まで工事が進んでいるとのこと。
事務所を出ると目の前には、これから出番を待つPCaがずらり。
と、目の前にあったPCaのひとつがあれよあれよという間にワイヤーを掛けられ、クレーンで吊り上げられて高々と空中へ…!
7階に着くと、運ばれたPCaを所定の位置に固定していく作業の真っ最中…と思ったら、さっき見たPCaは既に設置済み。
アン姉さん・ハザ丸 | 「早っ!!」 |
あまりのスピードに、びっくりする2人。
たいちょー | 「1フロア10日のペースで工事は進んでいるよ。従来の工法だと1フロア15日はかかる。 これが12階分だとトータルで60日分の差になるから大きいよね」 |
アン姉さん | 「仮設住宅の方たちにいち早く住宅を届ける、そのためのフルPCaなのね」 |
ハザ丸 | 「PCaとPCaの間はどうやってくっつけるの?」 |
ふと疑問に思ったハザ丸の前に、関西弁が軽妙な!?やまちゃんが登場!
やまちゃん | 「壁板の鉄筋は、溶接でつないでいくんだよ」 |
アン姉さん | 「溶接でつないでいくんだ…でも、こんなに大きなもの同士が全然ズレないってスゴイわよね」 |
たいちょー | 「そのためには、PCa1つ1つの精度も重要だね。誤差は3mm以内におさまるようにしているよ」 |
これまで数々の現場でPCaを取り扱ってきたベテランのたいちょーでも、かつてない経験だという今回の災害公営住宅建設。
この住宅を待っている人のために、奮闘の日々はまだまだ続くのだ。
若手もゲンバってます
今回も、現場で頑張る若手社員にインタビュー。
この現場でもっとも若いしもやんは、
なんと1年目の新入社員!
フレッシュ!
しもやん | 「学生時代はずっとラグビー漬けでした。じつは僕の居たラグビー部は安藤ハザマと一緒に気仙沼のボランティアに 関わっているんですけど、僕は参加できなくて。その分、今はこの災害公営住宅を建てることに全力投球してます」 |
取材時には第2工区の杭打ちを担当。日々判断や発想力が問われる現場で悩んだり苦労したりすることはあるものの、 学ぶこともたくさんあるそう。
しもやん | 「休日はラグビーと釣りでリフレッシュしてます」 |
ずっと関東で生まれ育ったので、これから東北の冬を初体験するというしもやん。寒さに負けず、ファイト!
施工物件を見て回りました
気仙沼には安藤ハザマの施工物件が他にもあるということで、そちらも見て回ることに。
町のあちこちで、盛り土による「嵩上げ」や、防潮堤の工事が行われ、まさに復興工事が佳境という雰囲気。
アン姉さん | 「気仙沼は水産業がメインの街。住民の就労場所を確保するためにも、 被災した水産加工施設を復活させていくことが重要なのよね」 |
安藤ハザマは気仙沼市内で、災害公営住宅2棟のほか、食品加工工場、
食品冷凍・冷蔵施設の2現場も施工している(2016年1月現在)。
最後に立ち寄ったのは、市の北側にある安波山。震災の爪痕はあちこちに残るものの、
山の上から眺めた気仙沼の風景はとても美しく。
ハザ丸 | 「お魚も美味しいし、また来たいなあ~気仙沼」 |
アン姉さん | 「そうね。私たちも気仙沼の復興を応援しましょう!」 |
<工事概要>
工事名称: | 気仙沼市気仙沼駅前地区(第1工区)災害公営住宅建設工事 気仙沼市気仙沼駅前地区(第2工区)災害公営住宅建設工事 |
所 在 地: | 宮城県気仙沼市 |
発 注 者: | 独立行政法人都市再生機構宮城・福島震災復興支援本部 |
設計・施工: | 安藤ハザマ |
工事概要: | 第1工区:PCa造 地上12階 64戸 延床面積 5,596㎡ 第2工区:PCa造 地上13階 130戸 延床面積 16,150㎡ |
用 途: | 災害公営住宅 |
取材時期: | 2015年11月 |